映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【詩】 釦鈕[ぼたん]
2007年09月02日 / 詩
森鴎外
南山の たたかいの日に
袖口の こがねのぼたん
ひとつおとしつ
その釦鈕(ぼたん)惜し
べるりんの 都大路の
ぱっさあじゅ 電灯あおき
店にて買いぬ
はたとせまえに
えぽれっと かがやきし友
こがね髪 ゆらぎし少女(おとめ)
はや老いにけん
死にもやしけん
はたとせの 身のうきしずみ
よろこびも かなしびも知る
袖のぼたんよ
かたはとなりぬ
ますらおの 玉と砕けし
ももちたり それも惜しけど
こも惜し釦鈕
身に添ふ釦鈕
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(訳)20年前、ベルリンで買ったコートの釦を、日露戦争の戦場でなくしてしまった。そのころまだ若かった、肩章(えぽれっと)を付けていた友人の将校も、黄金色の髪をなびかせたあの少女も、今ではもう歳老いたか、亡くなったかもしれない。
20年前の想い出を知るぼたんを戦場で失ってしまった。この戦で多くの人命を 失ったことは惜しいことだが、そのときにこのぼたんを失ったことは、自分の青春を失った思いで、とても惜しい----
~~~~~~~~~~~~~~~~~
森鴎外(1862-1922)の生地、山陰の津和野にこの詩碑があるそうだ。
彼は20代初めから中ごろまでドイツに官費留学している。
まだ転居先も決まらないのに家具を買おうと主張する同居人に
「ボタンに合わせて服を作るようなもの」と反対しているうち、
浮んできた詩である。
いつどこで読んだのだろう。「えぽれっとかがやきし友 こがね髪ゆらぎし少女(おとめ)」「ぱっさーじゅ、電灯あおき」などの句は半世紀後のいまも口をついて出る。
軍医としての鴎外は、麦飯の導入を拒んで、VC不足による脚気を蔓延させ、陸軍の兵を数多く病死させ、その数はロシアの1将軍よりも多いと言われた。・・・が従軍しつつ、落としたボタン一つに青春を見出だすこの感性は好きだ。反戦思想とまでは言わないが。
<57577+7>短歌に近く、口調も良いし、記憶しやすい。
→「石見への旅」09-07-05
南山の たたかいの日に
袖口の こがねのぼたん
ひとつおとしつ
その釦鈕(ぼたん)惜し
べるりんの 都大路の
ぱっさあじゅ 電灯あおき
店にて買いぬ
はたとせまえに
えぽれっと かがやきし友
こがね髪 ゆらぎし少女(おとめ)
はや老いにけん
死にもやしけん
はたとせの 身のうきしずみ
よろこびも かなしびも知る
袖のぼたんよ
かたはとなりぬ
ますらおの 玉と砕けし
ももちたり それも惜しけど
こも惜し釦鈕
身に添ふ釦鈕
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(訳)20年前、ベルリンで買ったコートの釦を、日露戦争の戦場でなくしてしまった。そのころまだ若かった、肩章(えぽれっと)を付けていた友人の将校も、黄金色の髪をなびかせたあの少女も、今ではもう歳老いたか、亡くなったかもしれない。
20年前の想い出を知るぼたんを戦場で失ってしまった。この戦で多くの人命を 失ったことは惜しいことだが、そのときにこのぼたんを失ったことは、自分の青春を失った思いで、とても惜しい----
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森鴎外(1862-1922)の生地、山陰の津和野にこの詩碑があるそうだ。
彼は20代初めから中ごろまでドイツに官費留学している。
まだ転居先も決まらないのに家具を買おうと主張する同居人に
「ボタンに合わせて服を作るようなもの」と反対しているうち、
浮んできた詩である。
いつどこで読んだのだろう。「えぽれっとかがやきし友 こがね髪ゆらぎし少女(おとめ)」「ぱっさーじゅ、電灯あおき」などの句は半世紀後のいまも口をついて出る。
軍医としての鴎外は、麦飯の導入を拒んで、VC不足による脚気を蔓延させ、陸軍の兵を数多く病死させ、その数はロシアの1将軍よりも多いと言われた。・・・が従軍しつつ、落としたボタン一つに青春を見出だすこの感性は好きだ。反戦思想とまでは言わないが。
<57577+7>短歌に近く、口調も良いし、記憶しやすい。
→「石見への旅」09-07-05
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