映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
刑務所の読書
2015年11月01日 / 雑
「週刊文春」2012新春号に「刑務所における読書」という特集があった。
刑務所が読書に適することは想像できる。
ほかに娯楽もないし、気を散らす刺激もないのだから。
シリアの寒村にいた2年間も自宅内監禁のようなものだったから、
一冊の雑誌、一冊の小説を隅から隅まで熟読したものだ。
さまざまな人の体験談で、一番よく覚えているのが阿部譲二の読書だ。
シオランの「生誕の災厄」をあげていた。
これは私も、1986年9月に紀伊国屋新宿店で買ったので手元にある。
友人に勧められたためだが、元気よく店に入り勢いよく
「ラシオンの『生誕の災厄』ありますか」とたずね
「シオランでしょうか」
と若い男子店員に聞き直された、恥かしい思い出がある。
手にしたメモには正しく書いてあったのだが、なじみのない名前だったので。
あのころの紀伊国屋はいい店員がいたなあ。
それに比べ、吉祥寺駅ビルの本屋は……おっとわき道にそれてしまった。
阿部譲二に戻ると、この本に関しては「ニヒリズムの極北」とだけ言って
詳しくは立ち入っていない。何しろ正月号だから、それも尤もかも知れない。
人間が生まれてくることが災厄である。
死ぬことこそ最大の幸福というようなことは
正月の雑誌には不向きだろう。
紀伊国屋→「写真集 40年前の東京」2012-1-9
「ノー・バース運動」20-6-16
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