goo

【本】伸子

著者 宮本百合子1985年 ほるぷ出版・日本の文学43-44 初出1928年改造社 県立図書館

読んだつもりが読んでなかった。あまりにも有名な作品にはよくそういうことがある。
彼女の素晴しい文才を再確認した。第一次大戦の戦勝日にニューヨークに居合わせたらしいが、場の雰囲気をこれほどたくみに写生することはなかなか出来ない。

20歳の彼女が、後ろに捨ててきた生家のすべての長所を備え、短所を除いた性質を夫に求めた所に不幸があった。この佃氏、夫族に対する不満を代表させられたようで、気の毒である。問題は彼個人にあるのではなく、結婚制度というものにある、とは作者も言っているとおり。その意味で今日でもこの小説の値打ちは失われていない。

この作品は、作者によれば、湯浅芳子の心が生ませたといっていいとのこと。愛情の力とはかくも偉大なる働きをなすか。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 【映画】キャ... 【映画】サガ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。