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山下清展


米子市立美術館で4月29日から6月4日まで開催中の山下清展を見た。

山下清(1922‐1971)と聞くと子供のころが思い出されるなつかしい名前だ。

放浪の天才画家、山下清は親が無く知的障害児の施設、八幡学園にいたとき、貼絵の才能を見出された。しかし時々学園にじっとしていられずふらりと旅に出る癖があった。
1953年に米国の「ライフ」誌に作品が紹介されて一躍時の人となり、日本中で彼を探し始め、1954(昭和29)年1月に鹿児島で発見された。

私が小学3年生のときで、新聞で読み、デパートで展覧会を見た記憶がある。
ただし当時はどう凄いのか分からなかった。
今見るとはっきりした輪郭と厳しい構図に日本の伝統の美を感じさせられる。
前に図書館で借りて彼の日記を読んだが、文章の面白さと発想のユニークさ、まぎれもなく天才だと感じた。

小林桂樹や芦屋雁之助主演で映画やドラマになったこともあるが、
子供のような純真さが強調され、彼の天才や真実が描かれたとは思えない。

一度見た景色をそのまま記憶し再現する、その能力は「サヴァン」と言われるものだろう。
また司馬遼太郎は彼を、日本人に珍しい「思想家」のタイプだと述べている。

松江城の絵もあったが、松江大橋と岸の柳、時計台のあるホテルがちゃんと描かれていて彼の記憶と目は信頼できると感じた。

会場には発見当時の新聞記事があったが、周りの高校生や子供らも顔つきが垢抜けて賢そうで、まさか鹿児島での写真だとは思わなかった。(後でラサール高校の生徒だと知った。)

山下清は行乞で食べ物を得ていたが、鹿児島ではお墓の供え物で何日も暮らしたと聞けば、祖先信仰の盛んな鹿児島の土地柄と、温暖な気候、桜島と錦江湾を望む景色の良さ、かれがその地を愛してたびたび来訪したのも分かるようである。(と、とうとうお国自慢になってしまった。)


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