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「いなば」(方言)

鹿児島で「いなば」言うと女子がお転婆なことを表す。「いなば」な子は、男勝りで勝気、やんちゃ、運動能力は高いが時としていじわるだ。

たとえば運動競技で金メダルを取るような、ナディア・コマネチとかマルチナ・ナブラチロワが鹿児島で子供時代を過ごしたなら間違いなく「いなば」と言われただろう。

私が小学校で「いなば」と感じていた子と言えば、何人かの顔が浮かぶが、共通の特徴は目尻が上がりぎみで、あまり喋らず笑わず、比較的美少女、学科の成績は悪くはないが、目だって良い方でもない。気のせいかその後に追従する子分の影が見え隠れする。当時私は体が弱くて運動が苦手、ひとりで読んだり書いたりが得意、もっぱら先生(男)の愛顧を頼りにし、彼女たちからはともすれば敵視されていそうな妄想ー実際にそうだったかも知れないし単に無視されていたのかも知れないがーを抱き、なるたけ「さわらぬ神に…」を奉じていた。

友人が前髪を眉毛の長さに切ったとき「この方が『イナバ』に見えるから」と言ったが、これを憶えているのは、当時我々が20代半だったのに子どもが使うような語が使われたのと、友人がそれを良いことのように言ったからだろう。私の記憶では「いなば」はあまりほめられたことではなかった。と言うのも、鹿児島という土地は特に男尊女卑の傾向があり、女性は口答えせずおとなしいことが美徳とされていた。しかし、これは建前であり、薩摩には古代スパルタ同様、伝統的に尚武の風があるから、女子と言えども勇敢さは尊敬される。中村きい子の「女と刀」が一例だ。ただ大半の女性はその勇気がないと言うか煩わしいので、いっそ沈黙と従順に甘んじるのである。これは半世紀前なので今はどうか分らない。

→「まつもと荘事件」11-10-16
→「折田魏朗氏」  11-10-12 
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (kazukokawamoto)
2014-04-30 09:37:22
「いなば」私の旧姓「稲葉」見た習慣「ハッ」としました。いろんな呼び名がありますね。地域によって言葉の表現があり、面白いですね。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2014-05-01 12:35:36
kazukokawamotoさん、本当ですか、稲葉っていい姓ですね、独身時代は稲葉和子、素敵な姓名なのに変わって惜しいですね。ところで貴女の若い頃は鹿児島でいう「イナバ」でしたか?おとなしい女性だったような感じがしますが、もっとも九州と比べ、そちらは女権が強いような気がしますね?
 
 
 
Unknown (kazukokawamoto)
2014-05-01 13:21:01
独身時代の稲葉和子は。明朗でのんき者でしたた。いつも周りが笑がありました。懐かしいです。もう一度昔にかえりたいです。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2014-05-02 19:17:36
明朗でのんき、いつも周りに笑いがある…さぞ楽しい時代だったのですね。でも全く消えたわけではないでしょう。今もどこかに残っていると思いますよ。
 
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