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映画「オブローモフの生涯より」

過去に3回見て、3回とも感想を書いている。よほど映画のインパクトが強かったと見える。

ニキータ・ミハルコフ監督 1979

新しい方から並べてみる。結局同じような感想だが、古いものほど簡潔で要領を得ている。

①24年前(48歳のとき) 1993年5月11日(三百人劇場にて)

没落地主階級と押寄せる西欧化、それぞれを幼馴染の2人に代表させている。
前回は、ドイツ人シトルツに共感を抱いたが、今回は逆だ。
「基本的に横になっている」主人公はまどろみつつ慈母の腕に抱かれた至福の幼年時代を反芻する。
その自堕落ぶりをも、忠実な僕と友人は突き放さない。ありうる状況に共感を覚える。
ロシア映画は以前なら批判されていたような人間像に注目するほどの包容力と繊細な表現力を持つようになった。

②29年前(43歳の時)1988年5月16日(中野武蔵野館にて鑑賞)

ミハルコフの他の作品はどうということないが、これは大好きだ。後味が良いのは、温かい愛情が感じられるから……。この手のロシア人のタイプというのをミハルコフは熟知しており、様々に思いめぐらしてきたらしいことが推察される。幾度も幼年期が出てくる。タルコフスキー「鏡」のように。母親の存在は重要なのだ。オブローモフが、短い余生を、「自分をよく知り、それにふさわしい生活を築き上げた」というナレーションが、完成度をましている。

③30年前(42歳の時)1987年4月30日 (三百人劇場にて鑑賞)

ソ連映画がユーモアのセンスをこれほど持っていたとはおどろきだ。そしてオブローモフのような人間像をあたたかく描写するところに今日のソ連の成熟度を感じずにはいられない。

☆三百人劇場は文京区千石にあり、74-06年、演劇や映画を上演上映した。
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