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恋人たちの橋

     旧数寄屋橋 うしろは旧朝日新聞社

       恋人たちの橋 
        
今から30数年前、上京したての私は、有楽町近くの小さな空き地にある記念碑を見に行った。空き地の名は「数寄屋橋公園」。記念碑には「数寄屋橋此処(ここ)にありき」という文字が刻まれている。
昭和27年から2年間、絶大な人気を誇っていたすれ違いラジオ・メロドラマ「君の名は」で、主人公の真知子と春樹が、東京大空襲の晩に出会い、半年後の再会を約束して別れたと言う場所だ。
ところがその橋は、ドラマが終わってからわずか5年で姿を消してしまった。経済発展のためだか知らないが、江戸時代には銀座を四方から囲んでいたという水路が、ついに全部埋め立てられたのだ。
ここでもう一つ忘れてはならない橋がある。ヴィヴィアン・リー主演の「哀愁」にでてくる、ウォータールー橋である。ロンドン空襲の晩に出会った男女の悲恋の舞台がこの橋と聞けば、なんだかそっくり同じ筋のようだが、どちらが真似たのか、それはもちろん、戦後に出来た「君の名は」に決まっている。「哀愁」は1940年製作だから。
こちらの橋は今なお健在らしい。テムズ川にかかる立派な橋は大英博物館が一方の端にあるという。ドラマのせいで国民的な存在になったというのに、空からの敵の爆撃でもなくその場しのぎの都市政策のために消えてしまった数寄屋橋。いっぽう、美しい簡素な姿を保ち続けるウォータールー橋は、イギリス人の「スロウ・バット・ステディ」(ゆっくりでも、着実に)という国民性の象徴でもあるかのようだ。
070320

〔八木先生評〕
 ウォータールー橋は、あまり美しいともいえない橋ですね。日本人専用の観光スポット、などとひやかされています。「哀愁」という名話(?)のせいかもしれません。

       ↓ ウォータールー橋(1979年現在)


→「洋画 どれがどれ? 11-5-1
→「君の名は」     11-10-13
→「数寄屋橋公園」   19-11-5
→「ミラボー橋」    7-3-2

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