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〔詩〕君は花のごとく

わが君は花のごとくに
しとやかに清くうつくし
わが君をうち見まもれば
なにゆえか愁いは湧きて

君つねに清くめぐしく
神きみを護りたまえと
手を君の頭に置きて
祈りたき思い湧き出ず

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けさ起きぬけに、なんの脈絡も無く、
半世紀ぶりに記憶によみがえった詩。
書かれていたのは
サイン帳だったかメモ用紙だったか。
季節はいまごろか、
年齢は10代の前半だったろう、
ひごろ付き合いもなかった同齢の女生徒、
その名前も顔も覚えていないのに。

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原題 「 Du bist wie eine Blume 」
ハインリッヒ・ハイネ「歌の本」 片山敏彦訳 新潮文庫

ハイネ(1797-1857)は「ローレライ」「歌の翼に」を書いた詩人。
ドイツ生まれのユダヤ人で、「愛と革命の詩人」といわれる。
自国では著作が発禁になり、死後もナチス時代には焚書にあうが、
日本人に非常に愛されている。墓地は亡命先、パリのモンマルトル。
上田敏、尾上柴舟訳もあるが、定型詩の片山敏訳が一番記憶に残る。

純真な乙女を見て、このまま汚れなく成長してほしいものだが・・・という、
希望と危惧とのない交ぜになった気持ちを抱く、恋人の思いが詠われている。
また、幼い娘に対する父親の思いのような訳もある。

〔付記〕坂口安吾の「堕落論」冒頭に、似たような心理を述べたくだりがある。
遠慮会釈のない表現で、詩と散文の違いがわかり、たいそう興味深い。

→「ドン・キホーテ」2017-4-23
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (kazukokawamoto)
2007-03-15 20:39:26
乙女の清楚な心を詠んだ詩が、我がの心もうちます。なんと爽やかな時代の時が蘇るそうです。
{ローレライ}も{詩の翼}も忘れられない青春時代が浮かんできそうで懐かしいです。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-03-15 23:40:11
川本さん
私達の時代はもう共学でしたが、
吉屋信子の小説の女学生に似たような
感傷的な時代が、やはりありましたよね。
「ローレライ」「歌の翼」と言う名を見ると、
女声合唱が、聞こえて来るような気がします。
 
 
 
Unknown (margot2005)
2007-03-16 00:01:58
こんばんは!
ハインリッヒ・ハイネ...懐かしすぎます。
大昔読んだ覚えありますね。
その後文庫本をゲットして、再び読んだりもしましたが、初っぱなしか記憶にありませんわ。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2007-03-16 00:20:18
マルゴさま、こんばんわ。
ハイネの詩集をお読みでしたか!!!
私、ハイネを本で読んだことが、じつはありませんの。
友人に書いて貰ったり、音楽やドイツ語の授業で習ったり。
この方、感傷的な詩人と言う通り相場とは違い、皮肉屋でもあり、ユダヤ人で革命家で、深く知ると面白そうですね。
 
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