映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【本】太平洋戦争と新聞
2010年08月18日 / 本
前坂俊之著 2007 講談社学術文庫
タイトルが目に付いたので、ちょいと借りてきた。概略は・・・
朝日や毎日など大新聞が先の大戦で何をしたか。真実を報道するという新聞の使命を忘れ、発行部数を伸ばす(維持する)ことに腐心した。すなわち利益を上げ、社員と家族の生活を守るという私企業の論理で動いたのである。読者の不買を招かないよう、大衆の気にいるような記事を書き(※)、かつ軍に睨まれ発禁になるような記事を出さぬよう自己規制した。
この本を読んだ折も折、18日朝の毎日新聞一面トップに、
「中国から『沖縄返せ』」
と言う見出しがあった。パッと見には、中国政府が日本政府に要求したかのようだが、良く読めば去年の中国の学会で中国の学者がそう主張したというだけのこと。それなら学者同士が討論すればすむこと、今こんな目立つ記事にするのはなぜ。寝起きの目には、今にも2国間に何か起きそうに思えてドキドキした。
(※)これは時期が古いので取り上げて無いが、南京「百人斬り」競争がある。名前と顔写真が出た2兵士は、それが証拠となり、中国で死刑になった。記事の裏には、戦意高揚の意図があった。こういう記事を歓迎する読者も読者だが、記者も記者、デスクもデスクであり、三者とも戦争熱に浮かされていたとしか思えない。スポーツ紙で贔屓チームを応援するに似た心境だろうか。しかし、ことは中国人と日本人の生死が関わっていたのだから愕然とする。
社会思想社「兵は凶器なり」(1989)「言論死して国ついに滅ぶ」(1991)をまとめたもの。著者は1943生れ、慶応卒、毎日新聞を経て、現静岡県立大教授。
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