goo

〔詩〕吾兄を 

 ヤマトタケルの歌

尾張に直(ただ)に向かへる 
尾津の崎なる 
一つ松  吾兄(あせ)を 
一つ松 人にありせば 大刀佩けましを
衣(きぬ)着せましを 
一つ松  あせを

意味:尾張の国に、まっすぐ向かっている、尾津の崎、そこに生えている
一本松よ、ああ、お前は、一本松よ、よくぞ俺の大刀を守っていてくれた
な。褒美に、お前が人だったなら、大刀を佩かせてやりたかったのに。服
を着せてやりたかったのに。一本松よ、ああ。

伊吹山の山の神の悪気にやられたヤマトタケルは歩くことも困難に
なり、杖をつきながら、故郷の大和をめざした。伊勢の国の尾津の崎
に至ると、往路に忘れてきた大刀が一本松のもとに残っていた。
それを見て詠んだ歌という。

タケルは疲れて、心細かったのだろう。自分の大切な大刀を守っていた
松の木が逞しい身体を持った心やさしい男に見えたのかも知れない。
こんな側近がいたらと思ったかもしれない。松の木を人間と見立てる
のはいかにも日本的。西欧人には理解不能だろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 〔詩〕ミラボー橋 〔詩〕はしけ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。