goo

【本】こんな私が大嫌い!

中村うさぎ著 2009年11月 理論社刊 よりみちパン!セ

週刊誌などで良く見る名前。彼女は女王様と自称、買物依存症だとか、顔を整形したとか、私とは縁の遠い人かと思っていたが、意外にも共通点があった。アダルトチルドレンと言う点だ。小さい時母親に十分愛され(たと思っ)ていないのが、自分嫌いの源。それを、彼女は「母の呪い」「自分で自分にかけた呪い」と言い、似た例としてカレン・カーペンターを取り上げる。彼女は才能ある歌手として、世界中で有名になりながら、拒食症でついには死に至った。その原因は、母親がいつもお兄さんの方を向いていたからだと言う。(お兄さんは天才だったらしい)著者は親も人間だから、子供の中で好きな子が出来るのも無理は無いという。ただ、子供は誰もが、自分を一番愛してほしいと思う貪欲な生き物だ。そして、それが叶えられないと、「自分は人に愛される価値のない人間だ」と言う、間違った思い込みにいたる者も出る。

うさぎが整形(12箇所)して良かった事は、自分の顔に対して無関心と言うか、距離を取れるようになったということだと言う。ほめられてもけなされても、これは整形外科医の技量の結果だから、私の価値とは関係ないと思うそうだ。(まあ、お面を被ったような状態なんだろう)自分を嫌いと言うのは、自分と距離が取れていないと言うこと、つまり客観化が出来ないということだ。自分を笑い飛ばすくらいになったら、その苦悩は消える。と言って、よい例にお笑い芸人とか、ゲイバーのママなどを挙げている。私も常々彼らを尊敬するが・・・・。それどころかうさぎはゲイと結婚しているとのことで「家庭にセックスは持ち込まない」方針だそうな。自分を嫌いな人が往々にして陥る、人生の節目節目でかならず間違った選択をするという、一例か。

週刊誌で面白おかしいことを書いて笑わせているだけの人だと思っていたが、こうして、彼女の奇矯な言動の源泉を、突き詰めて考え、それを、発表するに至ったことには感服。いつも言うが、このシリーズ「よりみちパンセ」の編集部の眼力と剛腕に敬服である。

→「叶恭子の知のジュエリー」 9-12-1
→「失敗の愛国心」  9-9-22
→「結婚の奴」  21-4-21
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 昭和のこども... 【映画】のだ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。