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山陰の底力

「イヤ~、山陰が底力を見せたねぇ」と、夫が言う。
「底力」とは、ほめ言葉ではなく「老人力」のように使っているのだ。

朝刊に出ている選挙結果の色分け地図を見ると、日本列島、雪崩を打ったように赤一色。その中で、民主党ゼロの県が見られる。宮崎、高知、福井、そして山陰の鳥取と島根。不思議にもどこも私と何かの関係のある県だ。生地、訪れた土地、現住地。

島根では故竹下登首相の弟亘氏と前幹事長の細田博之氏が、共に圧勝した。夫は、細田氏を何という暗いムードの男だと、常日頃言っているが、自民党本部でなかなか増えない当選の造花を手に、浮かぬ顔で歩いている細田氏、こういう破滅的状況にはピッタリの風貌だ。松江では珍しくない顔で、私は嫌いなタイプではない。(もっとも政治は顔だけで出来るものでは無いかも)

閑話休題。自分の投票と余りにもかけ離れた結果が出て、さすがの私も、自分がここでは「少数派」だと言う自覚が出てきた。そこで思い出すのがこの歌。

 少数にて常に少数にてありしかばひとつ心を保ち来にけり 土屋文明

全国の流れから取り残されたような、山陰や中国四国、南九州も、ある意味少数派である。どこも高齢化が進んでいる県である。
2,3日前、サウナ(男女混浴)の中でちらと耳にしたのは
「どうせ民主党の圧勝だろう」
「しかし子持ちにはいいが、うちのような老人ふたり所帯は、損するのでは」
これに関しては誤解があるようだが・・・

明治の初め、時代の流れに取り残された松江は今と似たような状況だったのでは、と思う。
徳川の親戚筋の治める松江藩は、いち早く立場を明らかにせず、痺れを切らし山陰鎮撫にやって来た西園寺公望一行を平身低頭して迎え、
するに事欠いて、錦の御旗がスムーズに通るよう、植木屋を総動員して
徹夜で松の下枝を切ったという。その中で1人気を吐いたのが、刀の先の
蒲鉾を食べた芸者「玄丹お加代」だったというから、少々情けない。

しかし保守性は、古い地名や言葉や町並みを保存することにつながる。
それが今では希少価値となり、観光の目玉になっている。
雪崩を打ったように皆が一方に走る時、このことは貴重かも知れない。

9月6日追記:この記事を書いたあとで地元のCATV番組「先人の足跡」で幕末に活躍した島根出身の儒学者、松本巌を取り上げていることを知った。維新の人物は玄丹お加代だけではないということが良くわかった。

→金美齢「日本再生への提言」12-10-14
→「玄丹お加代」8-8-28
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (おキヨ)
2009-09-02 12:43:08
昨日書いたコメントが届いていませんので〔どうやら私のパソコンがあやしげ・・・〕再度コメントを。

いやぁ,平成の大改革ということでしばらくはこの騒ぎ静まりませんね。細田博之氏のくだり笑いました。しかもあのタイプお嫌いではない。。。
雪崩を打つように・・・の人間心理は怖いですよね。確固たるもののない曖昧な人の感情で歴史が動くわけですから。

土屋文明の字、おもいのほか下手ということをご存知ですか(^o^)
 
 
 
おキヨさま (Bianca)
2009-09-02 15:46:38
子供の頃、わが家には斉藤茂吉の色紙はありましたが、彼の字もそう達筆とはいえませんでした。土屋文明はたしか、国語教師だったと思いますが、習字は不得手?まあ、歌は形より中身で勝負ということでしょうか。
うちは毎日新聞で、色分けは民主=赤でしたが、読売では逆に自民=赤なんですね。比例代表、全国で自民の得票が民主を上回ったのは47県中、富山と島根の2県だけだそうです。しかも富山は殆んど5分5分なのに、島根は差がある…。風が読めないと言うか、何と言うか…
 
 
 
Unknown (ひろよ)
2009-09-06 16:21:25
毎日新聞(大阪版)も当選者県別は民主党は「赤」でした。私もそうですが、自民党には、郵政民営化から、私たちの生活がしずらくなり、飽き飽きして、政権交代を望んだのでないでしょうか。大阪知事の橋本氏になって、お金の使い方が、府民は知らなかったことも分かるようになりました。民主党が当選しなかった5県は、県民に胡坐をかいていたら、いかがなものでしょうか。
 
 
 
ひろよ様 (Bianca)
2009-09-06 18:16:41
島根は3年位住民の意識が遅れていると言われます。
その後、比例代表で島根にも民主党議員が1人誕生しました。他県のおかげかも知れません。
 
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