映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】おとうと
2009年 松竹 126分 監督 山田洋次 原作 幸田文 出演 吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井優 加瀬亮 小林稔持 加藤治子 鑑賞2月8日 松江SATY東宝にて
堅実な姉と破滅型の弟、エリートやインテリに対する庶民、東京に対する地方という山田監督特有の対比はここでも行われている。ただ、大阪人というと図々しく下品であるように表現されるのはどうだろうか。これは固定観念では。また、男性が伸び伸びとしたい放題、女性はそのたしなめ役とか、取り繕い役というのが山田作品の定番だ。現実の多くがそうなのかも知れないが、私は、このパターンの映画を見ているといつも、自分の生き方に制約を受けるような圧迫を覚える。
(以下ネタバレ)
「男はつらいよ」にも、寅さんが葬式や結婚式などの儀式をぶち壊す場面がよく出てくる。
そもそも妹さくらは丸の内に勤めるOLで、良家の男性との縁談があったが、見合いの席の寅の振舞いがもとで破談になる。そして、貧しい工員であるひろしと恋愛結婚をする。ここは娘(蒼井優)が医師との初婚に破れて幼馴染の家具職人(加瀬亮)と再婚するのと重なる。
これまで山田洋次作品には主人公の死ぬという設定はなかったらしいが「母べえ」でそれが破れた。「母べえ」の鶴瓶と小百合のコンビを再起用した本作でもそれに続いて、死が重要な役を演じる。
小説「おとうと」は、幸田文の中で私がいちばん好きなものであり、市川崑の「おとうと」は、これまた彼の作品中で最も多く4回見ている。夭折の美を描いた原作「おとうと」を、山田監督がこういう風に見たのかと思い、解釈は人により様々だなあと痛感した次第だ。
この映画のよさは、役者として破滅的な人生を生きてきた弟が、通天閣の下のホスピスで、周囲に受け入れられて、安らかに死ぬところにある。家族も死に目に会うが、あくまで、社会が見取るということが現代的である。
桜並木、赤い紐で結んだ手首、鍋焼きうどんなど、原作でも最も印象的であり、市川崑「おとうと」でも生きていたシーンが、勿論でてくる。
堅実な姉と破滅型の弟、エリートやインテリに対する庶民、東京に対する地方という山田監督特有の対比はここでも行われている。ただ、大阪人というと図々しく下品であるように表現されるのはどうだろうか。これは固定観念では。また、男性が伸び伸びとしたい放題、女性はそのたしなめ役とか、取り繕い役というのが山田作品の定番だ。現実の多くがそうなのかも知れないが、私は、このパターンの映画を見ているといつも、自分の生き方に制約を受けるような圧迫を覚える。
(以下ネタバレ)
「男はつらいよ」にも、寅さんが葬式や結婚式などの儀式をぶち壊す場面がよく出てくる。
そもそも妹さくらは丸の内に勤めるOLで、良家の男性との縁談があったが、見合いの席の寅の振舞いがもとで破談になる。そして、貧しい工員であるひろしと恋愛結婚をする。ここは娘(蒼井優)が医師との初婚に破れて幼馴染の家具職人(加瀬亮)と再婚するのと重なる。
これまで山田洋次作品には主人公の死ぬという設定はなかったらしいが「母べえ」でそれが破れた。「母べえ」の鶴瓶と小百合のコンビを再起用した本作でもそれに続いて、死が重要な役を演じる。
小説「おとうと」は、幸田文の中で私がいちばん好きなものであり、市川崑の「おとうと」は、これまた彼の作品中で最も多く4回見ている。夭折の美を描いた原作「おとうと」を、山田監督がこういう風に見たのかと思い、解釈は人により様々だなあと痛感した次第だ。
この映画のよさは、役者として破滅的な人生を生きてきた弟が、通天閣の下のホスピスで、周囲に受け入れられて、安らかに死ぬところにある。家族も死に目に会うが、あくまで、社会が見取るということが現代的である。
桜並木、赤い紐で結んだ手首、鍋焼きうどんなど、原作でも最も印象的であり、市川崑「おとうと」でも生きていたシーンが、勿論でてくる。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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>・・・圧迫を覚える。
私のもやもや不快感も
激しくソレに当てはまります。
信じて疑わない確信的な善意・・
そんなもんカネだして映画観んでも
そこら辺中に寅やさくらが・・・
あああ~、ヤだヤだ。(笑)
そんなもんカネ出して映画観んでも
そこら辺中に寅やさくらが・・・・
いや、正にその通りです。思わずワハハと笑ってしまいました。ところが、その寅やさくらと取り巻き連中は、カネ出してでも、こういう映画を観たがるんですね、この世界観が唯一絶対の真理とでも思っているんでしょうか。何の不満も疑問も持つことなく・・・
市川監督の「おとうと」は良かったですよね!