映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「ジンジャーの朝」
2012 英国・デンマーク・カナダ・クロアチア 90分 DVD鑑賞
監督 サリー・ポッター 原題≪GINGER&ROSA≫ 副題(さよなら、私の愛した世界)
出演 エル・ファニング アネット・ベニング アリス・イングラート
サリー・ポッターは1949年生まれで「オーランドー」1992と言う両性具有を扱った映画
で世を騒がした。「タンゴ・レッスン」1997では、自分の恋愛体験を映画化、出演し踊っている。
(物語)
母親が産院でベッドを並べていたので、生まれるなり一緒に育ったジンジャーとローザは、17歳の今も仲が良い。
時は1962年、ジンジャー(エル・ファニング)はボーヴォワールを読み、反核運動に参加する「生まれながらの急進派」。
ローザ(アリス・イングラート)は政治より恋愛に興味がありカトリックと、対照的なふたりだが。
ジンジャーの父親は、人間はみな自由に考え行動すべしとの信念を持つアナーキストで
戦時中は牢屋に入ったし、娘にも「パパ」ではなく名前で呼ばせる。
家庭にとらわれず自由に恋愛をする彼の今度の相手は娘の友人であった。
ジンジャーの周りにはゲイのカップル、急進派の女性(アネット・ベニング)などがいて彼女を見守る。
「人類を救おうと必死になるほどには成長したが、心はまだ幼い」ジンジャーは父と親友の恋に激しく動揺する。
母親もそれを知って自殺を図る。
母親が入院した病院の廊下の椅子で夜を明かすジンジャーと父親。
夜の闇が薄明になった時ジンジャーは、詩のノートに書く。
(邦題と副題の意味がここでわかる)
「夢を見ていた、一生親友でいるって。
が私たちはちがっている。
あなたの夢は永遠の愛。
わたしの夢は私たち全員が生きて行くこと」(この意味は?)
映画の最初に原爆のきのこ雲と焼野原の画像がでる。この画像は、日本人にとっては天から降って来た災い並びに戦争の終りを意味するが、彼らにとっては、大戦の終りと同時に、新しい戦争の恐怖が出現したのだ。落したのも、核実験競争をしているのも、かつて連合国だった米ソであるから、上から降って来たものではなく、自分も何とかすべき分野である。それゆえ、抗議のデモに行く。大人と違い、核戦争は今にも人類の滅亡につながると皮膚感覚的に恐れる少女の涙にゆがんだ顔を見ると、大人の訳知りですまず、恐ろしさが蘇る。
父親については、信念に生きることは血肉を備えた幼い人間や弱い人間を傷つけるかも知れないとの覚悟が必要である。
ジンジャーが詩が好きであるので映画の中にも詩のようなセリフが出てくるし、父のことばは詩のようで、聞き流すのはもったいない。本来調和すべき詩と映像が無関係に流れているようで、これでは惜しいし、観客に不親切だと思った。
多分ジンジャーもローザもたぶん監督自身の中にある要素のような気がする。
1930年生まれのポッターという女性に映画が捧げられている、これは彼女の母親?
エル・ファニング
→「マレフィセント」14-7-26
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