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【映画】私は貝になりたい

日本 1959年 脚本&監督 橋本忍  原作 加藤哲太郎 白黒/1h50  
鑑賞@松江テルサ 出演 フランキー堺 新珠三千代 水野久美 加東大介

ちょうど50年前、TVドラマ(生放送)を、うちにまだTVが無く、近くの祖父の家に行って見た。映画化されてから、見るのは初めて。

B級戦犯の死刑囚の話で、絞首台に向かうシーンでかぶさるのが「私は・・・」のナレーションだ。当時13歳、ひたすら感動し、その後長い間、橋本忍と岡本愛彦の名は脳裏に焼き付いていた。

今回は、この半世紀に多くの映画も見、人生経験や戦争・軍隊の知識も得た上でだから、かなり冷静に見ることができたわけだ・・・・・ある意味では残念だが。

映画の主人公は、二等兵、お人好しの床屋と言う設定だ。だから、当時の人気コメディアン・フランキー堺が起用されたのだろう。が、どう見ても太りすぎ(あごが二重)だし、髪が長いのも、当時ありえないことだ。1945年の家族写真では父も、丸刈りだった。

「明日への遺言」の岡田中将らしき人物も出てくる。「姿三四郎」や「加藤隼戦闘隊」(どちらも戦前)の藤田進が演じており、同じ藤田でも藤田まことよりふさわしく感じる。

今また半世紀ぶりに、中居正広の主演でリメイク中で、公開は11月22日とか。
橋本忍(91歳)が、自分でもずっと不満だったと、シナリオに手を加えたそうだ。
かつて黒澤明にも、「シナリオが不十分」と言われたとのこと。

今回そのことを知って愕然とした。
映画は人間が作ったもの、当然、批判や改善の余地がある、
天の啓示の如く、唯一絶対の真実として受け止めていた
13歳の私の無知又は純情には戦時中の小国民を笑えないなあと思った。

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加藤哲太郎著「私は貝になりたい」春秋社1994年刊

著者は知識階級(父は元牧師で作家)の出で、映画の清水芳松とは大いに違う。
「戦場にかける橋」の収容所長や「人間の条件」の梶に近い一面もある。
経歴と言い、行動と言い、一筋縄でいかない人で、読後感も複雑だ。
彼はこの題名と遺書の部分は剽窃であると、橋本忍相手に裁判を起こし
以後、映画タイトルに彼の名が書かれるようになったそうだ。

ルイス・ブッシュ著「おかわいそうに」(文芸春秋社1956年刊)に収容所での加藤哲太郎が登場するが、かなり否定的に描かれている。

→「明日への遺言」8-4-23
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