骨粗鬆(コツソショウ）症ー私の体験

　　　　　　　　　　　　　　　　　ホネガイ(ヴィーナスの櫛）

 

１年位前、なんだか胸がチクチク痛むので、近くの整形外科でⅩ線検査すると、

「骨が折れています」しかも、ほかにも折れた痕跡があると。

「転んだり打ったりしたことは？」「思い当たりません」

「では骨密度はどうかな」と計ると、「同年齢の79％、20-40代の64％。骨粗鬆症です」。

 

これは骨がスカスカになる病気で、女性ホルモンの減少に伴い、高齢女性がなりやすいという。腰がふたつに折れ曲った老人を、昔はそこらで見かけたものだが、あれである。将来そうなるかも、と思うとゾッとした。

 

義母の骨密度は160％である。一見弱弱しい色白、細身の体で、本年87歳だが、杖も突かず歩いている。本人は、家が貧しくて鰯ばかり食べていたせいと言うが、私は、大工の棟梁を輩出した先祖のDNAのせいだと思う。

 

まさか自分がこの病気になるとは、夢にも思わなかった。

ずっと、自分は「骨太」だと信じていたから。

3人姉妹の中で、2人の姉より肩幅も腰幅も広いし、手も足も大きいし、

その上色黒だ（これは関係ないか)。

 

外見と健康とはあまり関係ない。

「檸檬」の作者、梶井基次郎は、容貌魁偉、真っ黒に焼けていたが

31歳で結核で死んだ。黒い肌は日光浴療法のせいとか。

 

原因を考えてみた。酒・煙草は好きじゃないし、コーヒーもあまり飲まない。ただ、昔から運動嫌いだし、甘いものは好きだった。日焼けがこわく、晴れた日中は出歩かず、年中つばの広い帽子をかぶる。

 

小学校の運動会では10人で走って大抵6等以下で、賞状や賞品を貰ったためしがない。もともと体力がない上に、競争心が全く湧かなかった。

 

18歳の時は、ボーっと茶の間に座っていたら「まるで80歳のおばあさんみたいだ」と母に言われた。「今からそんな風だと、年をとってから苦労するよ」今まさにその通りじゃないか。べつにその先見の明を讃えようというのではない。細木和子ではあるまいし、子の末路を正確に見透して、告知すれば、それでいいというものでもないと思うし。

 

甘いもの好きの方は、まず父が有名な甘党で、家では甘味が切れたことが無かった。思い出は「カバヤキャラメル」を何ヶ月も買い続けたこと。弟がカード（ターザン10点、チータ5点、ボーイ1点か）を50点集めて景品のカバヤ文庫(「オルレアンの少女」「王子と乞食」等があったなぁ）をそろえるのに熱中していたのだ。弟の前歯は虫歯で真っ黒になっていた・・・・医者の家庭にあるまじきことだが・・・・

 

話を現代に戻すと、整形外科の医師は「しかし、すこし若すぎますねえ。もしかしたら・・・」別の病気が潜んでいるやも、という。引っ越しの慌しさで、それ以上の検査は受けなかった。それから一年、カルシウム錠を日に3回呑み続けている。骨折は、湿布とサポーターで何とか治ったようだ。

 

子どもは学校、社会人は職場、老人は相応の機関で健康診断を受けるが、家にいる主婦はその網から洩れる。

 

松江市の保健センターで骨密度検査(料金600円）を受けたが、結果発表は40日後だという。数値はすぐ判るはずだが、おそらく医療法上、医師でなければ言えない理由があるのだろう。

 

とにかく「自分はＯＯだ」という根拠のない過信はおそろしい。

特に骨密度だけは、食事制限した覚えのある女性は、老若を問わず、機会のあり次第検査した方が良い。早期に判れば、取り返しのつかないうちに軌道修正も出来る。

 

この検査は健康保険が利かないので何千円と掛かるが、今度のように安く出来る場合もある。将来は、血圧のように、骨密度も、どこにでも計器をおいて、だれもが気軽に計れるようになるといいと思う。

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※松江での検査結果は99％と84％で、ほぼ正常値だった。一年来のカルシウム服用と睡眠・歩行のおかげだろうか。(08・7・27記）

※この数値は多分まちがいだろう、それ以後の検査ではことごとく骨粗鬆症である。以来ずっと治療を続けている。（12.5.23)

※あれから10年、治療していないが、骨粗鬆症が進行したようすもない。骨密度はどのくらいか、測る機会もなく、積極的にその機会を避けている。あの当時は、別の要素(精神的・心理的）からあのような症状を呈したのではないかと思う。（22-3-12）