映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「シェーン」
1953 米 119分 ★午前十時の映画祭★松江SATY東宝にて
監督 ジョージ・スティーヴンス 音楽 ヴィクター・ヤング《遥かなる山の呼び声》出演 アラン・ラッド ジャック・パランス ジーン・アーサー ヴァン・ヘフリン ブランドン・デ・ウィルデ
遠い昔に映画館で、12年前にTVでも見ている。これほど有名になると、いまさら見るまでもない気さえするが、今回見てわかったのは、この作品はやはり「本物」だということだ。見るたびに新しく、決して古びない。緑したたる大自然、開拓農民の家族3人、流れ者のガンマン。時代は移りつつある。その中で利害が衝突する新旧勢力が争っている。昔ながらの放牧による牧畜業者と、農地を開き囲いの中で畜産を行う農民と。主人公シェーンは旅の途中ある農家に立ち寄り、一宿一飯の恩義で無法な連中に立ち向かい、また去ってゆく。日本の股旅物にもありそうな設定だ。アラン・ラッドは身長が168cmあるいは175cmと、小柄ながら、素早いガン捌き、裸になると隆々たる筋骨で、その上ソフトな物腰で甘いマスクだ。子供にも女性にも好かれるが、男には多少警戒される。
いいシーンは、グランド・ティートン山脈と空をバックに川面がキラキラ輝く中を、馬上のガンマンがひとり決闘に赴く、それを隠れつつ追う少年と犬。
ジョージ・スティーヴンスは「ママの思い出」「陽のあたる場所」「ジャイアンツ」「アンネの日記」の監督。誕生日が私の父より1日遅く、親しみの理由が分るような気がした。「アンネの日記」ではアンネと父親が「美しく青きドナウ」にあわせてワルツを踊るシーンが印象的であったが、「シェーン」でも、アラン・ラッドとジーン・アーサーが独立記念日の祭で踊るシーンがあり、夫ヴァン・ヘフリンが疎外感を覚えるのである。
ジーン・アーサーの恋心は、初対面でいい食器でご馳走をする、お祭りには結婚式の衣装を着る、というところ、子供に「あまり好きになっちゃだめよ、分かれるときに辛いから」と言い聞かせるシーンにこめられるが、面と向かっては心配の言葉と眼差し、そして握手だけの表現、そのつつましさは絶妙である。
単に撃ち合いだけの西部劇ではなく、そこに時代と社会と家族がくっきりと描かれている、家族映画の妙手、スティーヴンスならではの作品である。
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最近ヤボ用続きで、ブログから遠ざかっており、開いてみたら何とコメント(1)!!お返事が遅くなってすみません。「シェーン・カムバック!」こういう映画にも「カムバック!」と叫びたいですよね。