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【映画】パンドラの匣(はこ)

2009 日本 原作 太宰治 監督 冨永昌敬 音楽/菊池成孔 出演 染谷将太、川上未映子、仲 里依紗、窪塚洋介、ふかわりょう、洞口依子、ミッキー・カーチス レンタルDVD

昨年が生誕100年になる太宰治原作の映画「ヴィヨンの妻」「人間失格」を見たが、この映画はユーモラスで美しく、3本の中で一番いいと思う。

(物語)日本が太平洋戦争に負けた年。結核療養のため、山里の健康道場に入った青年・ひばりは、年齢も境遇の異なる仲間たちと出会う。そして「新しい男」になることを目指すのだが……。 二人の看護婦に対する気持ちや、結核による仲間の死で、ひばりの心は揺れ動く。しかし、根底にはあるのは、彼の信じるギリシア神話―「この世に不幸をまき散らしたパンドラの匣の隅に“希望”の文字が書かれていた小さな石を見つけた」―のポジティブな世界観だ。(ウーマン・エキサイトより)

私はおくてなのか、20歳過ぎてから太宰に出会い「ヴィヨンの妻」「斜陽」「人間失格」は印象に残るが「パンドラの匣」という作品はついこの前まで知らなかった。
この小説には彼の中の明るい要素が詰まっていると思う。多分、戦争が終わった直後の日本人の、疲労と絶望の果ての放心状態と、そこから生まれる希望と明るい未来を表現しているのだろう。物資不足、病気、敗戦、という要素を写実的にあらわすと、暗い貧乏たらしい雰囲気になるところだろうが、そうならない。

映画もすばらしい。絵と音楽と物語、三つが良いからか。(舌足らずでごめんなさい!)患者の中に越後獅子その実「花宵」という詩人が出て来るが、彼の作詞の「オルレアンの少女」と言う二部合唱がこの映画のために作曲されたのだろうが、さわやかで印象的だ。

2階建の病室が何とも言えず懐かしく思えた。そういえば私の子供の頃(戦後数年)は周り中の建物がああいう木造で、役場も学校もそうだった。モルタルなどというものはかなり後で出てきたのだ。

越後獅子とかかっぽれとか固パンなど、楽しい個性的な人物が出て来るが、
中ではひばり(染谷将太)とマアちゃん(仲里依紗)が格別に良い。
(窪塚洋介のつくしと川上未映子の竹ちゃんを省いたのは、嫉妬からでは無い。)
染谷将太は稲垣足穂の「少年愛の美学」に似合いそうな子供顔。
仲里依紗(なか・りいさ)は「桜の園」の中島ひろ子ソックリだが、スエーデンの血が少し混じっていたとは知らなかった。

太宰関連の映画を採点すると
パンドラの匣(80点)
ヴィヨンの妻(50点)→9-10-16
人間失格(40点)→13-12-18
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