吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

たくらみ

2008年12月02日 | 思うこと
アタシをおもちゃにしたのね!

昔、よく言われたものです。



……

………スイマセンっ。ウソですっ。見栄を張りましたッ。


ま、それはさておき…。
僕は、おもちゃのピアノの音が好きなのです。
保育園児の頃、家にあった記憶があります。
何となく今までに2台手に入れてありました。ジャンクなんですけど。
Wikipediaにもちゃんと載っているんですね。
トイピアノ

最近、またひとつ手に入れました。これで3台目です。
他の2台と違ってきれいなものです。

鍵盤でハンマーを動作させて、弦なり金属片なりを叩いて音を出すという点で、本物のピアノ、鍵盤つきグロッケンシュピール、チェレスタ、そしておもちゃのピアノは、僕にとっては同一線上にあります。
もちろん、製作の「本気度」は違うわけですが、発音原理は同じようなものであり、そのノウハウには共通の土台があります。

おもちゃというと軽蔑したり見下げたりする人がいますが、遊びこそ人間の人間たる証であり、そのために供される道具としてのおもちゃは崇高なものですらあると僕は思っています。

新しく手に入れたおもちゃピアノ


では、ちょっと開けてみましょう


鍵盤を押すと、ハンマーが上がります


ふむふむ、ではアクションを見てみましょう(クリックで拡大)


鍵盤の端の木切れは、本体内の部品の代わりです(クリックで拡大)


鍵盤を押すと、こういう風にハンマーが上がり、金属棒を打ちます。
金属棒を打ったハンマーは跳ね返り、金属棒が振動するのを妨げないようになっています。
この動作機構をエスケープメントといって、ピアノではとても(とてもとても…)重要なものです。

ふーん、いいじゃん。
このアクションはウィーン式(またはドイツ式)アクションのバリエーションといえますね。
かつてイギリス式アクションと覇を競った形式です。

クリストフォリの元祖ピアノよりもシンプルな構成で、これを技術的退行とする研究者もいますが、生産性や、当時の弦との相性の良さ、シンプルで軽量な構成部品ゆえの作動の早さなど、優れた点を否定するのはどうかと思います。
初期モデルの方が複雑かつ高度な構造を持つというのは、科学技術の世界でも非常に多く見られる例なのです。
考えすぎ、力掛けすぎで機構が複雑化してしまうという傾向が初期モデルにはよく見られます。

製作、開発現場では常に、複雑化と単純化、高機能と必要十分な機能、高性能と安定性などの双極の間で悩み苦しむものです。

で、どうしておもちゃピアノを研究しているかというと、僕には納得のいくものが無ければ自分で作るという選択肢があるからですね。
ふふふ…、ちょっと考えていることがあってね!
秘密よ。まだ秘密!

こうして企んでいるときが一番楽しいです。悪だくみじゃなくて良いだくみ。
ふふふ…

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しまりす)
2008-12-02 22:55:45
ほ、欲しい!
ちょーだい(笑)

秘密って・・・
ひろにゃんさんも秘密主義だったのね!

自分で作れるっていいですね

秘密といわれると 知りたくなる
教えないとぉ・・・
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素人考えですけど (ムスタファ)
2008-12-02 23:55:20
トイピアノの中って初めて見ました。なかなか面白いですね。
素人考えですが、このハンマーの打点部の材質をいろいろ変えると、きっともっと面白い音が出せるのではないかな、と思うのですがどうなのでしょう。
またこれとアンデスのような楽器と合体させたら面白いだろうな、と妄想膨らむ一方です。
面白いトイピアノ、作ってください。
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Unknown (ペコちゃん)
2008-12-03 00:30:01
ペコをおもちゃにしたのね!ひろにゃんたま!(つд`)

トイピアノカワユス
ペコも初めてトイピアノの中身見ましたが、普通のピアノとあまり変わらない感じですね??

早く、ひろにゃんたまのトイピアノが見たいなぁ!

なんだか、ひろにゃんたま、遊び心満載なのでトイピアノ解体中の表情が想像できます(笑) 萌え~♪
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ここだけの話 (ひろにゃん@風琴屋)
2008-12-04 10:03:48
しまりすさん、ようこそ!

僕は秘密主義者ではありません。
でも、男と女の間には、時には秘密も必要よ。

まあムスタファさんが、良いところを突いてしまったので、言ってしまいましょう!

考えているのは、トイピアノとポルタティフ・オルガンを組み合わせたものです。
2~3オクターブの小さな楽器で、鍵盤はそれぞれにあるので2段、ピアノ鍵盤からオルガン鍵盤へのカプラー(連結装置付き)。
分離して独立した楽器としても使用可能。
分類上は「クラヴィオルガン」気取ってラテン語で「クラヴィオルガヌム」に属するでしょう。

ここだけの話よ!
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ネタは尽きず (ひろにゃん@風琴屋)
2008-12-04 10:53:24
ムスタファさん、さすがのご明察!

アンデス(これはアンデス25Fという鍵盤ハーモニカのリードが笛になった楽器の商品名)が出てきた時点で正解です、ピンポ~ン!
あのアンデスも、本気でリメイクしてみたい楽器ではあります。もっと良い音になるはずですし、下の音域も拡張するとぐっと深みが増すでしょう。
ついでにストップをつけて、風が苦しくなるのは、ふいごを付けるか、それともバグパイプ式にするか…。ネタは尽きません。

ピアノのハンマーの前に厚い布を垂らしたり、金属片を垂らしたりして、音を変えるカラクリは自動演奏ピアノで見たことがあります。

僕らが思いつくものは大抵、先人が試していますが、実際に自分たちで検証してみることは大事です。
「改良により廃れた」という表現は、書物ではよく見かけますが、それは当時の価値観において「改良」なわけで、実際に見てみると必ずしも改良前が悪く、改良後が良いというわけではありません。

試作機が出来たら、ムスタファさんにはテストパイロットになっていただきましょうか!
大丈夫。爆発なんかしません!
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ほ、ほんに… (ひろにゃん@風琴屋)
2008-12-04 10:59:39
ちょ、ちょっと、ペコちゃん…。
おもちゃだなんて、あれはお互い納得した上でのアソビじゃないか…。

特に体力の衰えも感じていないし、アソビ心もあるので(ありすぎ?)若い気でいるけれども、一番、歳を感じるのは、知ってた子供が立派な大人になったのを見た時!
ショックだよー!あれは!
あーんな小さかったペコちゃんが、いまや妙齢の女性ですもの!
ボシュゥゥゥって煙とともにジジイになってしまう感じ。

ほんに立派にならはってねえ…、うるうる。
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