○五感俳句690・触覚30冷・利普苑るな01・2025-03-03(月)
○「雛の日やはじめ冷たきイヤリング」(『舵』2014)(利普苑るな01)
○季語(雛・仲春)(「→閑中俳句日記(別館)-関悦史-」より引用)【→五感俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:冷たさを感じる触覚は5句目であるが耳の冷たさは初出。雛祭の日。はじめは耳に冷たいイヤリングも春の日の中でしだいに冷たさがなくなってくるのだ。
○利普苑るな(りーふぇんるな)(1959-2016)
○好きな一句「円錐に頂点ひとつ油蝉」(『舵』2014)02
○季語(油蝉・晩夏)(引用同上)
【Profile】:広島県福山市出身。大阪府豊中市に居住した。「河」を経て「鷹」同人。
○次元俳句690・元号(時間)1・水沼三郎01・2025-03-02(日)
○「天平の日差しに翁芹洗ふ」(水沼三郎01)
○季語(芹・三春)【→次元俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5・忌日祈念日俳句】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:天平年間(729-749)の光景を詠んだ句か。この芹を洗っている翁(おきな)とは誰が具体的な人物を想定しているのかも知れない。
○水沼三郎(みずぬまさぶろう)
○好きな一句「大鯉の恋の尾力夏立てり」02
○季語(夏立つ・初夏)
【Profile】:1925年栃木県出身。2000年宇都宮で「けごん」創刊主宰。
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水沼三郎掲載句
03春場所の勝者の背なの色白な(春場所・仲春)〈五体691・背な1〉2025/3/9
○挿絵俳句689b・燈届かぬ・鎌田透次703b・2025-03-01(土)
○「燈届かぬところより梅の闇」(『遠景』2025)(鎌田透次703b)【→Haiku and Illustrationへ →第15句集50句へ】
○季語(梅・初春)
from a place where the light can't reach
the darkness of plum blossoms begins / Touji
【作句メモ】:梅の闇は春の闇。春の闇は黒色が厚く濃い。「あかりとどかぬところよりうめのやみ」
○五感俳句689・味覚48苦み6・齊藤泥雪01・2025-02-28(金)
○「日出於忌や苦みの抜けぬ塩蕨」(齊藤泥雪01)
○季語(日出於忌・初春)(「→現代俳句データベース」より引用)【→五感俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:今日は弘前出身の俳人・→斎藤日出於(1923-1979)(「澁柿園」創刊者)の忌日。掲句の作者も同郷で「澁柿園」代表だった。塩漬けの蕨であるがなかなか苦みが抜けない。
○齊藤泥雪(さいとうでいせつ)(1937-2021)
○好きな一句「卒業の列が過ぎゆく大鏡」02
○季語(卒業・仲春)(「→現代俳句データベース」より引用)
【Profile】:青森県出身。「草樹」同人。「澁柿園(じゅうしえん)」前代表。弘前高校の職場句会「鏡陵句会」を指導した。
○挿絵俳句689a・疾く過ぐる・鎌田透次703a・2025-02-27(木)
○「疾く過ぐる月命日の無き二月」(『遠景』2025)(鎌田透次703a)【→Haiku and Illustrationへ →第15句集50句へ】
○季語(二月・初春)
february passes quickly
there is no monthly anniversary
in that month / Touji
【鑑賞】:30日の月命日。2月には無い。閏年(次は2028年)であっても2月には無い。過ぎ去るのが速い2月を「逃げる2月」などと言うようだ。
○特集俳句689・抱腹絶倒俳句3「絶」・鍵和田秞子05・2025-02-26(水)
○「晩学や絶へず沖より春の波」(『未来図』1976)(→鍵和田秞子05)
○季語(春の波・三春)(「二十世紀名句手帖⑦海と山のラビリンス(齋藤愼爾編)(河出書房)」より引用)【→特集俳句-索引1・索引2・検索3・検索4・検索5・検索6】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:年齢を経てからの学びはなかなかはかどらないね。ゆっくり行きましょう。激しくはなくともゆったりと、そして絶間ないあの春の波のように学んで行こう。
○方法俳句689・直喩150ごとし8・日原正彦01・2025-02-25(火)
○「雨あしに鈴あるごとし春しぐれ」(日原正彦01)
○季語(春しぐれ・三春)(「朝日俳壇(2002・4・1)」より引用)【→方法俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:「春時雨」であるからこそ雨脚が鈴の音に聞こえる。今まで扱った「春時雨」の2句。「→春時雨関東ローム層の上」(『眼光』2011)(鎌田透次)、「→竹籠に眠る絹糸春時雨」(祐森彌香)。
○日原正彦(ひばらまさひこ)
○好きな一句「天高し洗濯機の海荒れてゐる」02
○季語(天高し・三秋)「朝日俳壇(2010.10.25)」(「→増殖する俳句歳時記」より引用)
【Profile】:1947年岐阜県出身。高校時代より詩作を始め、「詩学」研究会に投稿。第一詩集『輝き術』に により、第6回東海現代詩人賞受賞。第五詩集『それぞれの雲』『ゆれる葉』 により第24回中日詩賞受賞。1997年の詩小説『かほこ』まで 10冊の詩集がある。
○五体俳句689・胸奥1・千田百里01・2025-02-24(月)
○「白梅や胸奥にある切通し」(「沖」200204)(千田百里01)
○季語(白梅・初春)(「→俳誌のサロン>歳時記>白梅」より引用)【→五体俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:「胸奥(きょうおう)」とは心の中。歩いてきた切通しの記憶が甦る。白梅を眼前にして。
○千田百里(ちだももり)
○好きな一句「封蝋の紅の陰影パリー祭」02
○季語(パリー祭・晩夏)(「『俳句年鑑』2017年版(角川書店)」より引用)
【Profile】:1938年埼玉県出身千葉県市川市在住。「沖」(1970年→能村登四郎が市川で創刊。→能村研三主宰。)同人会長。
○次元俳句689・挿す(空間)3・杉森与志生01・2025-02-23(日)
○「工房や挿して雛の首いくつ」(『杉森与志生集』2006)(杉森与志生01)
○季語(雛・仲春)(「→俳人協会・俳句文学館>今日の一句」より引用)【→次元俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5・忌日祈念日俳句】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:雛人形の工房である。人形の体に首を据える作業。完成された雛人形のいくつもの首がと並べられる。
○杉森与志生(すぎもとよしお)
○好きな一句「一人碁を並べて父の日なりけり」02
○季語(父の日・仲夏)(「→俳人協会>俳句検索」より引用)
【Profile】:1932年大分県出身東京都世田谷区在住。「青山」(→山崎ひさを主宰)同人。
○挿絵俳句688b・雨粒を・鎌田透次702b・2025-02-22(土)
○「雨粒を弾くかに初蝶の翅」(『遠景』2025)(鎌田透次702b)【→Haiku and Illustrationへ →第15句集50句へ】
○季語(初蝶・初春)
the first butterfly
I saw that spring
with feathers that repel rain / Touji
【作句メモ】:生まれたての蝶の翅の鱗粉は見事に雨粒を弾くであろう。どこへ飛ぶともわからないぎこちない初蝶の軌道である。