「ああ、そうそう、アレキサンダー・ミシュキンってのはでかい図体をした男だった。歩くときにちょっと片足をひきずっていたっけな。それに話し方に訛りがあった。8時半ごろやってきて夕食を注文し、しばらくすると30歳くらいのイギリス人の男が会いにきた。そうそう、2人ともうり2つの書類カバンを持っていたよ。奇妙な話だがね、もうひとりのアントニー・マリアーノもひとりで夕食をとっているところへ別の男がやってきて、いっしょに食事をしていったよ。マリアーノの予約は9時になっていた」
「マリアーノは、どんな男でしたか?」
「うーん、例のイギリス人と同じくらいの歳だったな、30代だね。浅黒い顔をしていて、うさんくさい目つきをしていた。背丈は中くらいってとこだね」
マリアーノ(39EC)を調べたが、事件にはまったく関係のない人物だった。ミシュキンのほうは住所録にない。