人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

伊勢で稽古尽くしのGW

2010年05月06日 | 東京
 GWは4日間伊勢での稽古に終始した。
 
 京都からの近鉄特急は全席指定だ。わかってはいたが予約を入れないまま
どうにかなるさと京都に着いた。

 京都近鉄改札付近は、予想をはるかに上回る人の山!
 誰がどこに並んでいるのかも定かでない。ほとんどの人がフラリと奈良観光
に向かう家族連れのようだ。みな困惑した表情で、確信なく列ともいえない塊の
後ろに並んでいて、整理する駅員自身も態度がハッキリしない。まさかこんなに
押し寄せるとは、といった感じなのだ。イラついて怒鳴る客も出始めていた。
お昼前で空腹な人が多いのもいけない。

 このままでは1時間はかかると判断した私は,券売機やチケットカウンターに
群がる人々を後ろに改札へ直行して言った。「一駅乗るだけなんだけど」
 すると責任を感じていたのか、駅員はアッサリと「じゃあ、降りた駅で京都から
乗ったと言ってください、どうぞ」と通してくれたのである。
 さもありなん。あれだけ“平城遷都1300年、せんとくん!”で宣伝しまくって
いたのに、GWへの備えが無さ過ぎたことは明白だ。

 私は全席指定の特急に無賃乗車し、自由席がないのを知らなかった振りをして
無事目的地までの切符をゲット。最初の駅で降りろと言われた時のシナリオは頭の
中に出来ていたが、幸いなことに没になった。
 しかし乗ってからわかったのだが、そんな人は結構いた。なら最初からGW中
は自由席車両を作っておけば、あの混乱は特設乗車券売り場を設けることでかなり
整理出来たのではないか。

 連結車両に置いた三脚に坐り鯖寿司をほおばりながら、晩春から初夏へと移り
変わる山々の美しい景色に見とれ、読みそこなった大量の新聞を次々に読み飛ば
した。世界はどんどん二極化している。報復と破壊、祈りと再生・・。
 
 劇団伊勢ではGW初日とあって、家族サービスなどで昼間は団員が集まらず、
子役の子供たちと夕方まで、伊勢神宮の歴史を勉強しに徴古館(ちょうこかん)へ
行ったり、何十年ぶりかでクリームソーダを飲んだり、公約数の宿題を一緒に
やったりして過ごした。

 二日目に団長がひどいギックリ腰になり、大変なことになったと心配したが、
仲間や子供達に支えられて、4日目には何とか歩けるようになり、ホッとした。

 後半の2日間は狭い稽古場を出て、集会ホールの客席側に仮のセットを組んで
稽古した。実寸で稽古したことで様々な課題も見え、本番(6月19,20日)が
射程距離に入ったようだ。

 4日間の稽古の締めくくりは、どうやって文化不毛へと向かう行政と人心を、
本来の姿・・・人は互いに支えあわねば生きていけない、という事実に目を向け
させる事が出来るのか、の話に。

 芝居創りはまさに支え合い。大道具、小道具作りに始まり、衣装調達から代役、
稽古場の掃除、買い物、事務その他、すべて皆で分業して成り立ってゆく。会社
組織とさして変わらない。お金ではなく観客と仲間の笑顔が、目指す成果である
ところが大きく違うだけだ。

 帰敦車中の雑誌で、養老孟司さんの愛猫まるちゃんの写真を見た。
 養老氏の言うように、人間は頭の中で創りあげたややこしい問題に振り回されて、
無駄で意味のない事ばかりに右往左往しているのかも知れない。猫になりたいね~。

 そういえば昔、「人類の作り出した最悪の文明、それは貨幣じゃ!」と怒っていた
老人もいたな・・・。
  
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