人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

お白石持ち初体験

2013年08月07日 | 舞台
 稽古を兼ねて伊勢のお白石持ちに参加してきた。
 劇団副団長と色々語らいながらサボリサボリだったので何とか膝も悪く
ならず最後まで6時間!歩けた。
                      
劇団団長、副団長、私。後ろが曳き車/休憩時に披露される木遣り。女性たちが初々しい。

 お白石を積めた樽をたくさん積んだ引き車を50メートル以上もある太い
綱で曳いて、あの有名な宇治橋まで歩くのだが、普通は綱を持って飛んだり
跳ねたりし、怪我人が出ることもある。が、私が参加した上長屋奉仕団と
いう組は実におとなしい曳き方で、進行係の一人を務める劇団団長がどんなに
綱をゆすっても無反応。少し淋しい気もしたがこれもまた良し、という感じで
穏やかに無事宇治橋に到着。

宇治橋手前のお払い町で。携帯を持ってるのが私の手。カンカン照り!

 曳き車をばらして青年団の面々が樽を担いで宇治橋を渡る。先に橋を渡って
待っていた私たちは、真っ白なハンカチにお白石を一つ頂いて、御霊の入る
前の新しい御正殿に真正面から入った。

 いつも布が下がっていて垣間見るだけだった門の内を真っ直ぐに通り、
さらに開け放たれたもう一つの門を通ると…突然のように、透き通った空気と
御正殿が目の前に現れた。

 時間が止まった、ようだった。千年前と全く同じ姿で悠然と在る御正殿。
欄干には桃のような形の色様々な玉。
 とにかく大きい。屋根には青い空を背景にくっきりと金色に輝く千木(チギ)。
何一つ無駄を感じさせず、何一つ足りないものが無い・・・。

 圧倒的な美しさで泰然とそこに鎮座する、世界最高の白木の建造物。

 その社殿の真横に私は自分の白石を一つ積み置いた。自然と目頭が熱く
なった。誰もが同じに赤い目で、「凄い…」と呟き続けた。

 大好きだった叔父さんのご葬儀を失礼させて頂いて、稽古とお白石置きに
費やした4日間。叔父さんは97才の大往生。私は2月に予感がして会いに
行っていたので悔いはないがご家族にはお会いしたかった。でも伊勢を離れ
なくて良かったなと、叔父さんなら言ってくれたはずだ。

 有無を言わせぬ感動を味わった体験だった。

 亡くなった東京のプロデューサーRさんが言っていた。
「若い世代へ伝えなければならないのは、感動の体験である」と。

 現代では、人間同士が伝え合うには難しい遺言かも知れない、と思った。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 朗読とは | トップ | お盆 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

舞台」カテゴリの最新記事