二本足の學者を目指して

賢を見ては齊しからん事を思ふ

平成二十九年一月二十五日(水)日米關係概略(追記)

2017-01-25 09:27:48 | この世を概觀する
 日米關係概略

 これ迄、日本(政府)がアメリカに對して求めて來た内容は、凡そ以下のやうなもの。

 「アメリカさんは損するかも知れないけれども、日本にとつては、旨味がありさうなので、アメリカさん、TPPの件、御願ひします」

 「集團的自衞權を行使しようと思ひましたが、公明黨や野黨によつて、骨拔きにされて了ひました。アメリカさんは日本を守つて呉れても、日本は、フェアな同盟關係をアメリカさんと結べません。亦、憲法改正の目處は立つてゐません。そんな感じですが、日米同盟の深化を宜しく御願ひします」

 要は、日本は、今迄どほり、アメリカに軍事的、經濟的な負擔を強ひようと云ふ事。然し、アメリカ人とて人の子。幾ら、神やイエスを氣に掛けてゐるとは云へ、常に神の子のやうに振舞へる訣ではない。人には限度があるから、アメリカ人が自分を大事に考へるやうになつても、何等不思議ではない。

 要は、日本はアメリカに甘えてゐるのだ。これが駄目だと思へば、中共に甘えようと云ふ輩が出て來さうだが、一黨獨裁の共産主義國家に甘えようとすれば、どうなるか。

 繰返すが、新聞やテレヴィでマスコミ人や識者が、偉さうな事を語り、やれ、グローバリズムだの、やれ、自由主義だのと云ふが、要は、グローバリズムだの、自由主義だのを利用して、アメリカに甘え續けたいだけの話なのである。かう云ふ事を云ふと、「戰爭に勝つたアメリカが、日本がさうなるやうに仕向けて來たのだ」と開き直る日本人が必ず出て來るが――「負けたのが惡い」と云ふのは分るが、「勝つたから惡い」と云ふのは、狂人の言ひ分である、と松原正が書いてゐた事を思ひ出す――、要は、さう云ふ日本人は、何時迄も敗戰後の儘でゐるのが、樂と云ふ事だ。安倍首相は、戰後體制からの脱卻と云つてゐたが、之を實現する意志はあるのか。實は、私のやうな一般人が知らない處で、話が好轉してゐる事を切に望む。

 日米同盟がフェアではない事は、以下の記事を參照。

 【仙臺「正論」懇話會】潮匡人氏講演「9條改正は全自衞隊員の願ひ」

 日米同盟、「公平」にしなければ

 米國の次期大統領のトランプ氏は選擧期間中、日米同盟は「フェア(公平)ではない」と言つた。(日本の100%負擔を求める)在日米軍の駐留經費ばかりが焦點となつてをり、「日本は75%も出してゐる。トランプもいづれさうした事實を知るだらう」といふ見方を日本の學者などが示してゐる。だが、すでに75%出してゐるのだから、殘りの25%を出せばいいではないか。お金を拂つて濟むなら、それだけのことだ。

 しかし、トランプ氏が日米同盟は「フェアではない」と問題提起したことはもつと深刻なことを含んでゐる。彼はかう言つた。「日本が攻められたら、われわれは日本を守らなければならないが、われわれが攻められたときに日本は何もしてくれない」

 今囘の安保法制で日本は「存立危機事態」と政府が認定したときに限つて集團的自衞權を行使できるやうになつた。だが米國が攻撃されたときに自衞隊は助けに行けない。(限定的でない)フルの集團的自衞權が行使できる状態で初めてフェアな日米同盟になる。

 そして、アメリカ人の正義感は「フェア」と云ふ事と密接に繋つてをり、彼等は「アンフェア」と云ふ事を蛇蝎の如く嫌ふのである。
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