明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日米ゴルフ観戦記(24)試合を盛り上げた勝負のポイント

2023-10-31 18:09:13 | スポーツ・ゴルフ

1、樋口久子三菱電気レディス
ステップ・アップ・ツアーで実力を見せつけたリ・ハナがレギュラー・ツアーでもメンタルの強さを遺憾なく発揮し、仁井・山下とのプレーオフを制して嬉しい初優勝を飾った。久々に「可愛い系韓国ゴルファー」の誕生である。ステップで優勝してる頃は「ショットの精度」で際立っていた彼女だが、今回レギュラーで見るとパー5で2オンする「飛ばし屋」に変身しているじゃあないの。一体彼女に何があったのか?・・・

JLPGAの公式ニュースを読むと、2週間前にフィッティングして飛距離が伸びたんだそうだ。彼女、身長は高い方じゃないのにシャフトを46インチに伸ばし、しかも固さやスペックを調整したら何と「10から15ヤード」も飛ぶようになったと言うのである!。アマチュアで「飛距離に悩む人」が飛びつきそうな話だが、これはフィッティングが超上手く行った例だと思うから余り鵜呑みにはしない方がいいかも。しかしプロで何年もやっているリ・ハナでも「まだまだ飛距離が伸びるんだ」と考えると、我々のクラブ選びも「ちょっと考えた方がいいんじゃないの?」と思うのは無理もない。

まあプロのコーチに見てもらいつつ、しっかりトレーニングも積んで筋力とか体幹とかを鍛えているアスリートだからこそ、「フィッティング」の効果も出た、と考える方が良いのかも知れない。しかも、そんじょそこらのゴルフショップで見てもらうようなフィッティングじゃなくて「プロのフィッターが経験とお金をかけ」て、本当に彼女の能力を極限に引き出す選択をした結果が、劇的な飛距離アップに繋がったんだと思うのが正しい。

勿論プロである以上は全員程度の差こそあれ、フィッティングはやってる筈だ。それで全員が「今の飛距離」でツアーを戦っているわけで、誰しも飛距離を伸ばせるなら「何でもやる」つもりでいると思う。だがどうしても練習量は限られているから、青木瀬令奈のように「それぞれの得意な部分」を磨くことの方により集中してトップグループで頑張っている選手もいるわけだ。そりゃあドライバーをドッカーンと270ヤードも飛ばしてウェッジでビタッとピンそばに寄せ、それを難なく沈めてバーディー・・・なんて「楽な勝ち方」が出来る選手は「そうそう」いるもんじゃない。

可能性があるとしたら櫻井心那とか神谷そらとか岩井明愛・千怜の姉妹などの「飛ばすけどパターも一流」というオールラウンダーだろう。だが、230ヤードでフェアウェイキープするのと270ヤードで同じくフェアウェイキープするためには、スイングの精度が「各段に良くなくては」難しいと思う。飛ばす人は「それなりに身体を極限まで使っている」から、どうしても精度は限界があるのだ(勿論飛ばしは才能だから、トレーニングしたからと言ってそうそう飛ぶもんじゃない、と思う)。じゃあ飛距離をツアーの平均並みに落とせば精度が上がるか?と言うと「そこではもっとうまい選手が大勢いる」ので、それではトップは取れないのである。むしろ飛ばし屋の選手は精度が悪くても飛距離でアドバンテージがあるから互角かやや有利なのだ。それで結果として「いい勝負」になる訳である。

それが、飛距離が余り出なくて他のスタッツで勝負して来たテクニックある選手が「さらに飛距離も武器にした」ってことで、ここに来て「リ・ハナが一気に優勝候補の一角」に名乗りでたのである(青木瀬令奈も飛距離が伸びてトップランカーに加わることが出来たそうだ。セキユウティンも飛距離の恩恵を受けたと言っている)。リ・ハナは夢はアメリカで凄い選手になることだそうだから、見た目は可愛い系女子の彼女だが「根はやっぱり韓国!」である。つまり、強気で憎たらしい「可愛げの無い」タイプと判明したのだ(残念でした!)。まあ人それぞれで一長一短があっても良いんじゃないかねぇ。山下美夢有だってゴルフはタイガー並みのダントツトップの成績を出しているのに、イマイチ男性達から人気がそれほどないのも見た目に左右される「女子ゴルフの宿命」なのかも。

とにかく圧巻のゴルフで優勝をさらったリ・ハナ。飛距離を手にした彼女の次の試合は「見もの」である(鈴木愛が最終日に80を叩くという予想だにしなかった大乱調は「何かあったんじゃないの?」というレベルで驚いたが、なにせコメントが無いので理由は分からず仕舞いで残念である)。

2、静ヒルズレディス
こちらはステップ・アップ・ツアーで、この所毎試合「熱い戦い」が繰り広げられている。前回のサロンパス・レディスは「独走トップが2日続けて大崩れ」し、全く予想していない大須賀望が棚ボタを果たしたという「大波乱の大会」になって面白かった。最初は私の推している「飛距離モンスター小林夢果」がびっくりするぐらいにバーディを量産して「1日目7アンダー」のトップに躍り出た。二日目はインタビューでも「にっこにこの笑顔」で調子はいいですなどと語っていたのに後半15番でショートカットを狙ったドライバーが樹木の密集している林に飛び込んで、そこから「なかなか脱出できず」に一気に5オーバーの「9」と大崩れしてしまった。何とも可哀そうなアクシデントである。試合後の小林夢果のコメントは聞けなかったが、聞くのも憚れるほどにガックリしてる事と思う。

これで小林は無念の脱落だ。代わりにトップに立ったのが「元気娘・竹内美雪」である。二日目を終えて9アンダーと、二位の保坂真由・高木萌衣に7ストロークの差をつけて「誰もが優勝は竹内に間違いない」と思ったくらいにショットもパットもキレッキレ。ただ一人「60台」を出して、余裕の雰囲気すら醸していた。

ところがゴルフは一晩寝るとガラッと調子が変わるもの。最終日は別人のようになって10番でトリプルボギーの大叩きをやらかしてから全然駄目になってボギーを連発、78と「並み以下」に沈んで一気に試合が混戦模様となってしまった。上位が皆4アンダーとか5アンダーを出してスコアを伸ばしている状況下で、彼女だけが「ただ一人5オーバー」とスコアをボロボロに落としていては、まったく勝負にならないのは当然である。

バーディスタートで「さあ行くぞ」と気合十分に出て行ったのに一体「彼女に何があったのか」。何か情報は無いかと色々調べたが知りたいのはやまやまでも、当人でなければ分からないので書けないのが残念である(しってりゃ今頃プロコーチになってると思うんだけど・・・)。だが私が想像するに「何が何だか分からなくなっていた」という感じではないだろうか。まあ頭が真っ白というのが一番分かりやすい。テレビに映る彼女の表情は押し寄せるプレッシャーに「ガチガチ」に固くなっていて、見ている方が辛くなる。

案の定、最後の18番パー5でバーディなら優勝、何とかパーを取ればプレーオフというところで弾かれたボールは「無情にも」カップを通り過ぎていった・・・(月並みな表現しか出来なくて申し訳ないですぅ)。外れたボールを見つめて呆然としている彼女の表情には「哀愁すら漂って」いるほどに物悲しい結末であったと思う(テレビは残酷にも彼女の顔をアップで「大写し」していた)。これでクラブハウスリーダーで待っていた大須賀に優勝が転がり込んだという訳である。

勝者がいれば「一方で敗者が出る」のは勝負の世界だからやむを得ないとは思う。だが無邪気に喜んでいる大須賀と対照的に「無言で戦いのフィールドを立ち去った竹内の胸の内」を想像すれば、1日目に初優勝を夢見た小林夢果も含め、女子ゴルフと言えども「可愛い子ちゃんがワイワイ頑張ってるエンタメ」などという、下世話なショーとはまるで違う「勝負の世界の厳しさ」を改めて認識させられた試合であった。これがサロンパスレディスである。

ところが次週の静ヒルズレディスもそれに劣らず「大波乱・大番狂わせの展開」が待っているからステップアップと言えども侮るなかれ!なのだ。

初日のトップは橋添穂と小林光希の5アンダー。最終的に優勝した大須賀望は14Tの1アンダーと「まあまあの位置にいるその他大勢」のグループだった。さらにその大須賀とプレーオフで勝負を争った河本結は「57Tの3オーバー」で、予選を通るかどうか?という「完全に圏外」の成績だったのである。大須賀は2日目にはトップと2打差の4アンダー3位に上がって来ていたが、河本に至っては「まだ22位Tの1オーバー」と、全然相手にされていない位置でウロチョロしてた。ちなみに2日目トップは服部真夕の6アンダー、小林光希の5アンダーと続く。

これで最終日は大須賀を含めて最終組の3つ巴の戦いだなと誰しもが考えていたら何と何と、下から河本が「7バーディノーボギー」と圧巻のゴルフで怒濤の追い上げを見せて「大まくり」して来たのだ!、恐るべし河本結!

同組の鬼頭さくらも絶好調の「6アンダー」で回っていたので、この組は何か「神様がご褒美をくれるような良い事」をしたのかも知れない。そう思わせる程「何もかも」が上手く行っていた。こういうプレーも河本に実力が無ければ出来ない話である。そして最終組のスコアが伸び悩む中、大須賀がようやく頭一つ抜け出して「河本とプレーオフ」になった。前週の勢いをそのままに大須賀が二週連続優勝の離れ業を達成して、寸での所で「ジェットコースターの大逆転劇」を食い止めて試合を終わせたのである。

前の試合で人生の闇を垣間見たような「小林夢果と竹内美雪の悲しい記憶」が冷めやらぬ中で、今週は優勝を逃しはしたものの、稀に見る素晴らしい試合内容で自信を取り戻した河本の「底抜けの笑顔」を見て、1ファンではあるが「心が癒された」と申し上げておきたい。元々実力があってステップツアーでも4勝し、レギュラーでも勝ってアメリカに乗り込んだ河本である。今からでも遅くは無い。もう一度輝きを取り戻してレギュラーで勝利の栄冠を掲げ、泡よくばアメリカのツアーに再び挑戦して「メジャーで活躍する」ぐらいの闘争心を持って欲しいものである(そんなこと言わなくても元々彼女は勝気な性格だから、当然そう思っているとは想像するけど)。

まあそんなことで大荒れの試合は大須賀の連続優勝で幕を閉じたわけだが、果たして今週はどうなるのか?

レギュラーはTOTOジャパンクラシック、ステップは明治安田オープンがそれぞれ予定されている。さらに選手の質が上がって見どころが増えた女子ゴルフ。賞金の高い秋の陣は見どころ満載で楽しさも3倍となりそう。私はまたまたテレビの前に座りっぱなしの時間が増えて「一気に運動不足」となり、さらに老け込みが加速して身体が心配な「女子ゴルフ」である。



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