昨日の夜録画しておいて、いつものように一切の外部情報をシャットアウトする作戦で私は「生中継」に集中した。こういうビッグイベントは「いつなんどき」結果を知らされるかわからないから、当然の自衛策である。テレビは「バカの一つ覚え」のように結果を「ご注進」してくれるアホがいるから、例え家庭料理の番組であっても「テレビは絶対に見ない」と心に決めている。ところが昨日はいつも寝る時に聞いているラジオをつけたまま寝てしまい(最近とくに多いが)、朝うとうとと油断していたら、突然「全米オープンはデシャンボーがトップで、マキロイとモリカワが1打差」と言い出したのだ!。犯人はTBSの「森本毅郎スタンバイ」アシスタント、遠藤泰子である。「ふざけんなよ!」と慌ててOFFにしたが、危うく結果を聞いちゃうところだった。おおーっ、あっぶねぇ〜。
時間が早かったので試合がまだ終わって無く「事なきを得た」が、それにしてもメディアは何で結果を「我先に」言いたがるのか?。スポーツの試合結果を放送する場合は「これから結果を発表しますがいいですか?」と言ってからにするよう、放送ルールを厳格化すべきだ、と私は声を大にして言いたい。出来れば即時「国会で法案提出」し、来年1月から早々に施行するべきだ。理由は、もし知りたけりゃネットで見るから「放っておいてくれ!」、というのが私の言い分である。何より私が「知りたくない情報」をお節介にも「むりやり教える」などというフザケた権利は、「誰にも無い」と断言したい!。そもそも知りたい情報は、「こちらから取りに行く時代」に変わっているのだ。それにしても全米オープンぐらいのビッグイベントになると、どこに地雷が埋まっているか分からないから、心配で家から外にも出られない。困ったもんである。
そうこうしながら朝から録画を見始めて6時間。マキロイやモリカワはズルズルと後退し、デシャンボーも絡みつくラフに苦しめられてスコアを落としてしまう。ヒューズもボールが木に乗っかって落ちてこないアクシデントで万事休す。ケプカも次々とトラブルに見舞われて圏外に去った。世界最高峰であるPGAツアーの選りすぐりの選手が集まって覇を競う全米オープンは、メディアの言うとおり「我慢大会」になっているのだ!。そして最後に残ったのは南アのウーストヘイゼンとスペインのジョン・ラームの二人だけになった。この緊張感はなんだろう?
ボギーを打って沈んでいく選手たちは、ミスをしてスコアを落としているわけではない。世界最高の技術をフル回転させて難コースに挑んでいる。画面で見ていると、ジョンラームは17番の下りの難しいスライスラインを決めて5アンダーとし、絞り出すようなガッツポーズで「渾身の雄叫び」を挙げた。対するウーストヘイゼンはティーショットを右に曲げ、カートパスで跳ねてベアグランドみたいなところに打ち込み、バーディはおろかパーを守るのに精一杯という状況である。これはヤバいと思って画面に身を乗りだそうとしたら、驚くべきことにジョン・ラームが18番のロングパットも決めて、「歓喜の余り飛び跳ね状態」になっているではないか!
これでラームは6アンダーになり、クラブハウスリーダーである。必死で追いかけるウーストヘイゼンは16番のパー3こそパーで切り抜けたが、魔の17番でティーショットを左の崖に打ち込んでしまった。絶体絶命である。レッドペナルティエリアなので2クラブ外に出し、そこから3打目をピンそばにつけて1パットならパーだ。果たしてウーストへイゼンはピンそばに打てるのか?。固唾を呑んで画面を見ていたら、その瞬間「画面が消えた」のだ。「あっ」と思ったら、録画終了である。「何だようぅ〜!」。延長しないのか?と地団駄踏んだが、もうどうしようもない。あれほど声高にぶち上げた「結果を知りたくない自由」とやらはどこに行ったのであろう?。行き場のない怒りは誰にぶつけることも出来ずにシュンとなって椅子に座り込んでしまう。・・・しかし私の気持ちはびっくりするぐらい静かであった。きっとラームが勝ったんだろう。そうに違いない、と確信して席を立ったのである。
今年のマスターズは日本人初の松山英樹が優勝、全米プロは50歳になりシニアツアーにも出ている最年長のフィル・ミケルソンが優勝した。勿論、全米女子オープンでの笹生優花の優勝も画期的な出来事である。今年は奇跡が続いていて、その分感動の量が倍増している。そして今回の全米オープンは、「スペイン人」のジョン・ラームが初めて優勝出来るかどうかという状況で、中途半端な「おあずけ」になってしまったのだ。仕方なく4時からの再放送を録画予約して、私は心地よい青空の中、「ぶらりと外に出て」駅の方まで久し振りの散歩などを楽しんでみることにした。
私は普段、日本の女子ツアーを楽しみに見ているが、男子ツアーは今ひとつ面白みがなくて見ていない。世間のゴルフ人気は上昇中らしいが、男子ツアーは落ちているらしい。何故なんだろうとつらつら考えると、それは「選手達の真剣さ」の違いと、難コースに打ちのめされながらも立ち上がり、再び戦いを挑み続ける「精神力」の違いにある、と思いついた。飛距離も凄いしグリーン周りの技術も凄い。そして体格の割にロングパットなど、神がかり的に入れてくるあたりは流石である。しかし何より日本と違うのは、打つまでのセットアップの仕方が「マジ真剣そのもの」なのである。
どの選手もあれこれルーティンなどしっかりやって、最高の一打に集中しているのが手に取るように伝わってくる。パットを外した後の仕草なども「何故外れたのか?」としばらくじっとボールの行方を確認したり、大げさにアクションして悔しがったりして、とにかく緊張感が半端なく漂っている風に見えるのだ。日本人だと外れたら外れたで「サバサバして」すぐ次のパットを打ったりするが、彼らPGAツアーの選手たちは「簡単には諦めない」のである。追い込まれたピンチの状況で「起死回生」の奇跡の一打を決める。これがスポーツの醍醐味であろう。皆んなそれを見たくて試合を見るのである。この究極の、ピーンと張り詰めた、手に汗握るくらいの緊張感がブレイクした瞬間に「爆発的な感動」がやってくるのだ。日本の選手たちも「演出」ではなくて、本気で「真剣に」一打一打取り組んでみると、雰囲気が違ってきてより一層の緊張感が出て、見るものを感動させることが出来るんじゃないか。その点で、女子は「戦う気迫を全身で表現するアクション」がちょっと難しいので、「可愛い」が優先するのはやむをえないだろう。女子は女子で別の魅力があると思う。
そんな事を考えながら、私は夜の再放送を楽しみに待つことにした。
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