胃捻転について、今回のジョンの事と合わせながら書きました。
内容が重複して書いている部分もありますし、私は素人なので大切な事がもっとあるのかも
しれませんが、初心者さん向けと言う事で・・・。
胃捻転(いねんてん)
~胃拡張捻転症候群:GDV(Gastric Dilatation Volvulus)
何らかの原因で胃に空気やガスが大量に溜まり(胃拡張)、その状態で
胃が捻じれてしまう。(下図参照)
胃が捻じれた事により、そこから血流が止まり始める。
処置(手術)をしなければ、数時間で必ず死に至る。
胃のすぐ横に脾臓があるため、脾臓への血流も途絶え壊死し、
摘出しなければならない事が多い。
胃や脾臓と共に、周辺にある太い血管や臓器も巻き込んで捻じれる事もある。
非常に緊急性が高く、致死率が高い病気。
処置をして命は救えても、処置をするまで時間がたてばたつほど壊死してしまう部分、
臓器が増え、それらは摘出しなければならない。
壊死した部分が多い場合、命が助からない事も。
心臓への血流が途絶えた事によりショック死する事もある。
また、捻転を治した後に途絶えていた血流が急激に良くなり、ショック死する事もある。
胸(腹部)が深い犬種に多く、幅が狭い犬種に多い。
グレートデーン、ボルゾイ、セッター、シェパード、バーニーズ、レトリーバーなどなど。
超大型犬、大型犬が多いが、中型犬やダックスなどの小型犬でなった報告もあり。
(飼育している人が多いせいもあってか、私の周りで胃捻転になった犬種はゴルやラブが
ほとんどです。)
【原因】 正確な原因は分かっていないとされていますが・・・
・何らかの理由で胃に大量のガスがたまってしまう。
・食事や水と共に大量の空気が胃に入った場合。
(ガツガツとした食べ方で、食事や水と共に大量の空気を飲み込みやすい犬)
・お水を(大量に)飲んだり、食後に走ったり飛んだりした場合
(これらは関係ないという意見もあるそうですが、リスクのひとつで避けるべきだと言われています。)
・暑さや運動後、興奮状態、などで激しいパンティング
・痩せている(慢性的に痩せている←神経質で性格的に太りにくい気質の犬)
・急激にかなり痩せた。
・嚥下機能に問題がある。(嚥下が上手くできない事により、胃に空気が入りやすいとの説)
・遺伝によるもの(両親祖父母で捻転になった犬がいる場合、そうでない場合とではリスクが高い)
・怖がり屋、神経質な性格である
・高齢であること(胃を支えている靭帯が伸びてきているなど)
・ストレスによるもの
・食べ物によるガス(豆類などはガスが溜まりやすいとの説もありますが
そのような証明はされていないとの記載も本で見かけます。)
ただ個人的な意見ですが・・・
やはり食べ物によってガスがたまりやすいものはあるので、ガスが溜まりやすい体質の子は気をつけるに
越したことはないかなと・・・
以前に市販品の「○○種類の発酵野菜」という商品をごはんに混ぜていたら、やたらとゲップとおならが多く、
何となく胃もたれしているような表情に見えました。
胃にガスが多く溜まる気がしたので、怖くなって与えるのをやめた所、元通りになりました。
ジェットやジョンには合わなくても体質や普段の食べ物でこの商品が体に合う子もいると思いますが、
やはり食べ物の影響もゼロではないのでは・・・と思います。
・その他(原因不明)
・愛犬が胃捻転になった飼い主さん達の話から個人的に思う事は・・・
胃捻転は高齢になるほどなる確率が上がると言われていますが、私の周りでは
高齢犬と同じくらい若い犬がなった話をよく聞きます。
若い犬は運動後やドッグランなどで水を飲んだ後や食後になる場合が多く、
高齢犬は特別な原因が思い当たらないのになったという場合が多いように思います。
(あくまで経験者の話から感じた個人的な感想です。)
=ジョンの場合の原因=
夏の終わり頃、「最近また顔が老けたなー。」と思ってはいましたが、特に変わった事は
なく元気に暮らしていました。
胃捻転になった時も、直前まで機嫌良く過ごしていました。
当てはまるのは【高齢である】という事でしょうか・・・?
【症状】
・吐きたいのに吐けない(食べた物などが何も出ない)。
・ウロウロと落ち着きなく歩く。
・座りたいのに座れない。
・伏せをして動かない。
・座ったり伏せをしたりを、落ち着きなく繰り返す。
・気持ち悪そうにしている。
・腹部が膨らむ。(骨格、体系により膨らみが分かりにくい子もいます。)
・・・などなど、普段とは違う様子。異変。
最初は劇的な症状ではなく、「何となく気持ち悪いのかも?」という感じなので
「ちょっと休ませて様子を見ようかな。」と思ってしまうかもしれませんが、
絶対にそのまま様子を見たりせず、即行で先生に連絡&病院に向かって下さい!
=ジョンの場合の症状=
機嫌良く過ごしていたのに、突然「ゲッゲッ」と吐く素振りをしました。
ジョンは滅多に吐かないので「何を吐くのかな?」と嘔吐物を見ようと見ていましたが、
何も出ません。
この時、胃捻転の症状のひとつである「吐きたいのに吐けない。(吐かない。)」が
咄嗟に浮かびました。
そのまま続けて3、4回吐きそうになりましたが、やはり何も出ません。
気のせいか、お腹もやや膨らみがある気が・・・。
「これは胃捻転だ…」と思い、すぐに先生に連絡をしました。
別の記事「先々月の事」に書いたような理由で、最初にかかりつけの先生に電話をしてから
自宅を出発するまで20分位かかってしまいました。
大急ぎで自宅から車で病院へ向かいました。
その間、車内でのジョンは貧血がどんどん進み、手足は冷たくなり、目はうつろ・・・。
目を閉じたらこのまま死んでしまうのではないかと思う恐怖の中、ジョンを撫でながら
「ジョン。ジョン。もう少しで楽になるから。絶対に大丈夫だから。」となるべく落ち着いた声で
ずっとずっと話かけ続けました。
病院に到着した頃にはジョンのお腹はパンパンに膨らんでいました。
それなのにジョンは立ち上がろうとし、自力で歩けそうな感じもしましたが、
パパが抱っこして病院内へ。
ジョンを先生に預けた後、診察室に呼ばれて入ると、診察台に寝かされているジョンは
私達を見て一瞬、立ち上がろうとし、先生がジョンを少しだけ押さえると
ジョンはそのまままた横になりました。
【治療】
・一刻を争う病気なので、ただちに病院へ!
(先に電話で症状や胃捻転の疑いがある事を伝えておく。)
・レントゲンなどの検査、鎮静をかける、胃の減圧、胃洗浄。
胃の減圧だけして帰宅させる獣医もたまにいるそうですが・・
必ず検査をし、捻転をしているならば早急に手術が必要です。
捻転がなくてもその後捻転する可能性が高いと言われているため、
その後の事を獣医とよく相談しなければいけません。
↓
・手術(胃の捻転を治す。壊死している臓器を摘出。)
↓
・必要により胃固定手術(一度捻転をした子は再発する確率が非常に高いため、
胃を固定する手術をする場合が多い。)
↓
・腹腔内の確認をして縫合。
↓
・麻酔から覚めるのを確認。
↓
・術後の処置(点滴、投薬など)
術後48時間は絶食。
普通は3日~1週間、入院。
術後3日間は危険な状態になる事があるので、その間は入院してきちんと
管理して頂いたほうが安心だと思います。
胃捻転は時間との勝負と同時に、難しい手術。
胃の捻転を治した後、止まっていた血流が急によくなったことによりショック死してしまう事も。
どれだけ完璧な手術をしても、避けられない何かが起きて不幸な結果になる事もあるとは
思いますが・・・。
=ジョンの場合の治療=
レントゲン検査をしてから鎮静をかけ、胃の減圧処置、胃洗浄、開腹手術で捻転を修正。
捻転を起こしてから手術までの時間が早かったようで、幸運な事に胃も脾臓も他の臓器も
壊死は一切なく、摘出しなければならない臓器部分はありませんでした。
今後、捻転をおこさないように【胃固定手術】も同時に行う。
無事、手術終了。
術後、まだ完全に麻酔が覚めていない状態の時にジョンと会ったのですが
夫と私の声を聞いたとたん、「う~~ん♪」と気持ち良さそうに大きな伸びをして
しっかり目を覚ましました。
手術前は死んでしまいそうだったのに、この時はもうすでに元気な様子で、
自分で起き上がりそうなほど表情も良くなっていました。
1週間入院後に退院。
1週間分の抗生物質(飲み薬と塗り薬)が出ました。
手術から2週間後に抜糸。
≪胃固定手術(胃腹壁固定術)とは≫
・一度捻転を起こした犬は、再度捻転を起こす確率が非常に高いため、それを防ぐために
胃を(腹壁に縫い付けて)固定する手術。
・薄い膜と胃を縫い付けるため、その部分がしっか固定されるまで約1ヵ月かかる。
その間、走る、飛ぶなど激しい運動は禁止。
・捻転を起こしやすい犬種は予防的にこの手術をする場合がある。
ナイトも何か機会があれば、予防的にこの手術をしようかと考えていました。
(でもその時は1ヵ月も走ってはいけない事を私は知りませんでしたので、実際には不可能だったかも…。)
・特に若くで胃固定手術をした場合、加齢により固定した部分が伸びてきてしまい
高齢になって捻転が起こる可能性は(手術当初と比較すれば)ありうる。
=胃固定した事によるジョンの様子=
術後2週間くらいまで、食後にちょっと気持ち悪そうな顔をしているように見えました。
食べ物が胃に入ってくると胃は動き始めるので、本来、固定されていない胃が固定されていると
やはり違和感があるのでは?と思います。
ジョンの場合は、食事を1日4、5回に分けて食べさせることにより、2週間くらいで慣れたようで、
今では食後もいつもと変わらない様子になりました。
食後もお散歩で歩いても、お腹を気にしている様子は全くありません。
【胃捻転に備えて】
・胃捻転の知識と経験があり、手術できる先生を探しておく。
・緊急時、時間外、夜間でも手術ができる先生を探しておく。
これは我が家も大きな課題です。
休診日で診てくれる病院でも「応急処置はできるが手術はできない」病院が多いと
今回初めて知りました。
自宅から片道2時間近い所に救急病院(手術もできる)はあるのですが、
(大変失礼ながら)先生達はどうなのだろう・・・と非常に不安です。
・胃捻転の疑いが少しでもある場合は「少し様子を見よう。」などと思わずに
すぐに先生に連絡して病院へ!
・大型犬や超大型犬が多いので、どうやって車まで運ぶか考えておく。
犬が自力で車まで歩いてくれれば良いのですが、歩けない場合もあります。
(ジョンは歩かせれば歩けそうでしたが、体重が26キロ位しか
ありませんし、夫もいたので抱っこして運びました。)
・手術代、入院費等を支払えるようにしておく。
正確には分かりませんが、捻転の手術は大型犬の場合で、30万前後~だと思います。
(超大型犬の場合は、それよりかかる可能性大。)
病院によって、また手術内容、処置内容、入院日数、その他でかかる費用は変わりますが、
まとまったお金が必要なのは間違いありません。
ジョンの手術前は費用を聞く余裕がなく、先生も我が家の考えをよくご存じですので
費用を知らずに手術をしましたが、病院によって(特に初めて行く病院の場合など)は、
先生から「費用が○十万円ほどかかりますが、どうしますか?」と 聞かれる事があるそうです。
「どうしますか?」と聞かれても…手術をしなければ、数時間後に必ず死んでしまいます。
愛情だけでは愛犬を救えないのが現実です。
頑張って貯金しておきたいものです(←私自身の事でもあります。)
【飼い主が気をつける事(避けるべきリスク)】
・水を一度に大量に飲ませない。
・蛇口から直接飲ませたり、お皿に水をごく少量だけ入れて飲ませたりしない。
(両方とも空気を多く胃に取りこむ心配があるため。)
(お皿にお水はしっかり入れ、適度なところで飲ませるのをやめるなどして気をつける。)
・ガツガツとした食べ方の子は、ゆっくり食べさせる工夫をする。
・水を大量に飲ませた後には走らせない。運動させない。
ドッグランで水をガブガブ飲ませている人を見かけますが、リスクの高い犬種にとっては
とても怖い行為です。
特に暑い時期は熱中症との兼ね合いもありますが、運動の前後には一度に大量の水を
飲ませないように気をつける。
・食事の前1時間、後2時間は走らせたり運動させたり、ゴロすり(ローリング)させない。
・1日1食にはせず、1日2~3食など小分けに食べさせる。
・食事内容いついて
ガスが多く発生するものはあまり与えない。
ドライフードの場合は特に一度に大量与えない。
良質のドライフードにする。あらかじめ、ふやかしてから与える。
豆類、芋類、必要以上の大量の炭水化物などを与えすぎない。
食事と一緒に消化酵素を与える。
気休めかもしれませんが、我が家はナイトがいた頃からガスの発生を抑える効果があると言われるハーブを
食事に入れています。
たまたまかもしれせんが・・・・ジョンが胃捻転になった時は、その前3日間ハーブを入れていませんでした。
(しかも普段は手作り食なのに、この日はドッグフードでした。)
でも・・・それまでも入れない日も何度かあったし・・・ですからこれらの関係の有無は不明です。
・食器台の高さ
賛否両論あり・・・。
一昔前は肘の高さに食器を置くと言われていましたが、最近は床の上でと書かれていたり…。
個体の食べ方や体質の違いもあり、食器台の高さは極端な場合を除いて何が良いとは
一概に言えないようです。
【胃捻転かも?と思ったら】
そのまま様子を見たりせず、一刻も早く先生に連絡し、病院へ向かう事!
胃捻転に関する知識や経験が浅く、胃の減圧処置だけして帰宅させてしまう先生もいる
そうですが、胃捻転は手術でしか捻転を治せません。
胃拡張の状態だったとしても、その後に捻転を起こす可能性も高いので、
きちんと検査をし、その後の事を含めて先生とよく相談して下さい。
とは言っても、飼い主は素人ですから、先生にこうと言われたらそれを信じるしかなく、
知識のない先生の判断では助かるものも助からなくなってしまう可能性もあるかと・・・
やはり胃捻転について知識と経験がある先生を見つけておく事、
休診時間、休診日でも手術ができる先生をみつけておく事が重要と思います。
【その他】
胃捻転になったらとにかく先生に連絡&病院に向かうことが何より最優先ですが、
何らかの理由でそうできない場合、飼い主が自分で応急処置をする人もいるようです。
やむを得ず自分で応急処置をしても、その後に病院に連れて行くのは必須です!
(胃拡張の胃の減圧はできても、捻転は手術でしか治せません。)
・超大型犬の飼い主さんで、ドッグランなど外出時には「ホース持参」の人がいました。
胃拡張になったらホースを口から胃に向かって入れ、ガスを出すのだそう・・・。
本当は医療用のチューブで行うのですが、一般の人は医療用のチューブが手に
入らない事と、愛犬が超大型犬なのでホースで代用しているのだと思います。
その方は慣れていると言っていましたが、先生のお話では胃が捻じれてホースが入らない
場合や、 ホースで食道や胃を傷つけたり、突き破ってしまう恐れもあるそうなので
やはり素人の場合は注意が必要です。
万が一、飼い主が処置した場合もその後に獣医師に診せる必要があります。
(胃拡張だけでなく捻転を起こしている場合は手術をしなければ死亡してしまいます。)
・消泡剤などガスを抑える飲み薬(ガスコンなど)
胃にガスが溜まっているかもと思った時に飲ませるために常備している飼い主さんもいます。
我が家のかかりつけの先生の話では、程度にもよるが本当にガスが溜まってしまったら
あまり効果がないとの事・・・。
やはりどんな時も獣医師による処置をお願いしたほうが安心ですが、念のために常備して
おくのも良いかもしれません。
・どうしても病院に運ぶまで時間がかかってしまう緊急時に備えて、先生から応急処置を
教えて頂く事も不可能ではないと思いますが、実際には素人が応急処置をするとなると
別の危険も出てきますので、先生とよく相談しておく事をお勧めします。
(我が家も念のために教えて頂きましたが…そのような事態にならないよう祈るばかりです。)
【最後に】
ジョンは胃固定手術をした上、推定9~10歳の高齢犬なので、大型犬の寿命からして
今後加齢により固定が緩むなどで捻転の心配はないと思いますが、胃拡張の心配はあります。
胃拡張は胃捻転と比べれば緊急性は多少は低いものの、やはり犬にとって苦しいのは
間違いなく、必ず処置が必要なので、今後は胃拡張にならないように注意して
いかなければいけません。
そして、もうひとつとても心配なのはジェットが胃捻転になったらどうしよう・・・という事。
ナイトの時にも考えていた胃固定手術ですが、やはり予防的に胃固定手術をするのは
抵抗があるので、気をつけていくしかないのかなと。。。
旅行中やショーでかかりつけの病院から離れている場所で胃捻転になったらどうしようとか、
緊急で知らない先生にお願いするしかない状況になったら大丈夫だろうかとか、
何より留守中になったらどうしようとか・・・
いろいろ考え出すと不安でたまりません。
今回の事で胃捻転をますます怖がる私に対し、我が家のかかりつけの先生は
「胃捻転は早急にきちんと処置(手術)をすれば助かるので、それをちゃんとわかっていれば
大丈夫。」とおっしゃっていました。
先生は腫瘍の専門医で、ナイトの事もよくご存じで・・・。
確かにそう言われれば、やはり癌のほうが遥かに怖い。
そう思うのですが・・・
今度胃捻転になったら、早く気付けるかどうか、自信がありません。
癌は言うまでもありませんが、胃捻転も本当に怖いです。
超心配症の私ですが、心配するだけでは何もならないので「私にできる事」をちゃんとしていき、
後は先生と神様にお願いするしかないのでしょう。。。
下手な文章、説明、長文ですみません。。。
胃捻転、胃拡張について、詳しい方がいらっしゃいましたら是非教えて下さい。
「じょん、よくがんばったねぇ~。」とでも言っているかのように
ペロペロするジェット。(ジョンも気持ち良さそう?)