花、昆虫、風景など

日常感じる季節の諸々を、花、昆虫、風景などを通じてアップしていきたいと思います。

元船長さんに話を聞きました

2008年09月18日 | Weblog
19時からはフリートークに近い内輪の会合があって、20万トン級のタンカーの船長さんだった人が経験を語ってくれた。
体格もがっしりした精悍な感じの人で、名をXさんという。
全体の感じからは映画俳優のようなオーラさえ出ている。
男としても惚れ惚れする良い感じの人だ。
この人が3等航海士時代からの経験を語ってくれたのだが、興味ある話がいくつもあって、もっと聞いていたいという感じがしたのだが、知らないうちに22時が来ていてトークは終了となってしまった。
そのトークの中から興味ある話を幾つか・・・。

日本最大級のタンカーは、長さが300m以上、幅が50m内外、高さが20m以上あると言うことであった。
大きいねえ。
はっきり言って想像が付かない。
この船の幅だけの長さの船だって結構大きいんだからねえ。
油を満載した時の喫水が、ほぼ20mと言うからとんでもない船だと言うことも判ります。
その船を操って日本からペルシャ湾までほぼ片道18日の航海をする。
楽しみはアルコールだけと言う人も結構多いらしいが、回教国にはいるときには全ての酒を捨てるらしい。
半分やけで酒風呂に入る人もいるという話であった。
と言うのも石油会社はぎりぎりになるまでどこの石油を買うか決めていないらしい。
それは先物やスポットの話を聞いているとある程度想像も付くのだが、それにしてもペルシャ湾に入ってから寄港地が決まると言うことが当たり前らしいから、やり難いと思う。
しかもタンカーだから沖合でパイプを装着して油を入れると言うことで、砂漠は遙か向こうに見えるだけ、上陸は無しと言うことでした。
一カ所で油を入れる訳ではなく、何カ所かの港で入れるそうで、積出港はそれこそ星の数ほど有るということです。
20万トン級以上になると積み込みに16~20インチパイプが6本ほど繋がりパイプ装着に2,3時間、油積み込みには一昼夜かかるという話でした。
船倉が幾つかに別れているため、船内タンクに油を入れるときには入れる度にモーメントを計算して船が沈没しないように気を付けるらしい。
今でこそパソコンを使うが、昔は全て手計算だったと言うから気を使ったことだろう。

マラッカ海峡を通過するときには海賊が横行しているので非常に恐かったと言うことであった。
海賊は概ね3カ所で蠢いているらしい。
マラッカ海峡を筆頭に、アフリカ沖、南アメリカ沖でも出没していると言うことであった。
油を満載しているときには喫水が深くマラッカ海峡の場合は推進が浅いため、海底までの距離が無く普通は14ノットくらいで進むらしいのですが、10ノットくらいのスピードでしか進めないと言うことでした。
それ以上出すと海底との間の圧が下がり、吸引効果が発生して海底にぶつかる、すなわち座礁してしまうと言うのです。
10ノットで進んでも10cm余り船が沈むと言うことでした。
昔、マラッカ海峡で海賊に襲われたという話を聞いたとき、その時は何故スピードを上げて振り切らないのだろうと思っていたのですが、そう言う訳があったのです。
海賊にやられると金は勿論、電気製品は全て持って行かれると言うことでした。

海賊という行為は卑劣です。
関係国の警備艇の護衛が付かないのかなと思ったら、未だに交渉中と言うことでした。
もう一体何年危険な航海を続けているのでしょうね。

イラン戦争の時にもその航海はほぼ命がけだったらしい。
カラチ沖で、最終の航海拒否者を確認し下船希望者はカラチに寄港して下船させると言うことでした。
ペルシャ湾にはいると最後通告らしくここを越えると死なば諸共の感覚の世界だったと言うから、油も本当に迫力満点です。

それと船員さんですけど、今は日本人の船員は少なくなってしまってなり手が殆ど居ないと言うことでした。
日本が初めてフィリピン人船員を乗船させたと言うことでしたが今は各国ともフィリピン人船員を乗船させているそうです。
外国船籍の船に乗船しているフィリピン人船員は全部で25万人とも言われているらしいですから、今やフィリピンは船員大国と行っても過言ではないといえるでしょう。
言葉は全て英語だと言うことでした。
それにしても、フィリピンに限って言えば、看護士や介護士、船員やメイドなど色んな国に色んな形で国民を送り出し、外貨を稼いでいるという。
逞しい国だなあと感心してしまいました。

他にも沢山興味のある話があったのですが、全部書くと凄い量になるのでこの辺りでお終いにすることにします。