のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



母の日に 二人の母へ

2016年05月08日 | 随想
お母さんへ

お別れしてからもう15年になりました。
今、写真を見ています。笑顔で写ってはいるものの、もうかなりリウマチが進んできたころですね。

今の私と同じ年齢だなんて。

車椅子に乗り、薬の副作用でムーンフェイスになっているお母さんの顔は、本当の顔じゃないよね。
思えばお母さんの人生って、苦労の連続だったんじゃない?

小姑鬼千匹というけれど、6人の小姑で鬼6千匹のところへよく嫁いできたね。
しかも口騒がしい鬼ばかりで、言いたいことも言えず我慢し続けるなんて、とても私には無理。

大家族の中で耐えてこられたのはお父さんがいたからだよね。
おばあちゃんを誠心誠意で看取り、これからやっと楽ができるという頃になって、発病。

体のあちこちにメスを入れ、徐々に体が弱って動けなくなる姿を何十年かにわたって見続けるのは本当につらかった。
妹と二人で隠れて泣いたっけ。

でも一番つらかったのはお母さん自身だって今は分かる。
お母さん、安心して。あなたの娘は、とっても元気だから。

赤い服を着て、白髪を染めて、ピンクの口紅を指して、相変わらず飛び跳ねてます。
丈夫に生んでくれてありがとう。

叔母さんに聞きました。私が知らなかったこと。

私が初めて生んだ子どもの体に障害があると知ったとき、悲嘆にくれて泣き言を繰り返す娘に
「母親になったんだから、そんなことばかり言ってどうするの!」と叱ってくれましたね。

でも、私が帰った後、娘が悲しむ姿が辛くてたまらないと、大泣きしたんだってね。
叔母さんが話してくれました。

私以上に辛かったんでしょう。
私は結局甘えていたんだと思います。

いつも失敗や愚痴を聞かせでばかりでごめんね。
いくつになってもお母さんのように我慢強くはなれません。

きっと、相変わらずおっちょこちょいで人に心配ばかりかけているんだねえ、とあきれているでしょう。
子どもたちは何とかやっているから安心して。

私はいつかお母さんやお父さん、妹と会うときのために土産話をたくさん作りますから、見守っていてね。




お義母さんへ

早速ですが、あのワラビお義母さんが植えておいたんですか?
だったら今まで気がつかなくてごめんなさい。

ミョウガは数年前に気がついて、今では何倍にも増やして秋にたくさんいただいていますよ。
お義母さんがいなくなった時に、残してくれた梅干し、あれも重宝しました。

まだ私は梅干しも糠漬けも自分で作ってないんです。だってお義母さんのようにうまく作る自信がないんです。
ほんとにお上手でしたもんね。ちゃんと教えてもらっておけばよかったと悔やんでいます。

それからお赤飯は絶品でしたね。
色といい、堅さといい、あのふかしたてのお赤飯は、今思い出しても心までほかほかしてきます。

屈託なく開けっぴろげで、いつも笑っている、そんなお義母さんにどれだけ助けられたか、感謝しています。
あなたが可愛がってくれたやんちゃ坊主は父親になりましたよ。

お義母さんのようにお赤飯を作ったけど、何か違うんですよ。断然お義母さんの方がおいしい。
どこが違うか、そちらから教えてください。メールでもいいです。夢でもいいです。

お漬け物はどうしてもかなわないけれど、いつも私の作った料理を「おいしい、おいしい」と言って食べてくれたおかげで、
なんやかやと作るのが好きになりました。

知らないうちに褒めて育てられていたってことかな。
私はあなたの息子を褒めて育てました。

おかげで何でもやってくれるので大助かり。お義母さんからも褒めてあげてくださいね。

今年も牡丹の花、咲きました。
ずっとずっと大切にするね。

          すごーく前に描いた絵ですけど。