先日帰省した折。
父が作ってくれたイカ刺しをつまみに、ビールを飲んだ。
父は「ビールもらったけど、苦くて一人では一本飲み切ることができない」と巧い言い訳をした。
話が弾んでビールが進めば、「こうしてみんなで飲めば美味いもんだな!」と言ってその場の誰もが和む。
夫はあまりビールが進まないようではあったが、
私の父から話を聞き出した。
仕事を辞めて、事務所とその土地を売った。(父は個人事業主である。)
買い手が早く荷物を片づけて明け渡してくれと言ってきて、ちょうど6月末ごろまで忙しかった。
荷物だけ片付ければいいかと思いきや、隣地に黒松が生えていて、結構な幹の太さ、丈の高さがあり、業者に頼んで切り倒してもらった。が、切った後の木をどう処分するか。薪のサイズにすれば引き取ってくれるという窯もとがあり、自分で薪のサイズに切ったという。元気そうにしているが、不用品の片づけや木を切るなんて、80を過ぎた父には辛かったようだ。
片付けが終わったら、歯医者もいかないければならないし、夏だけ地元に帰ってくる同年代の友達が、新潟に不動産物件を見に行くというので連れ立って出かけることにした。
初めて知ったが、大人の休日倶楽部に加入すれば、安いチケットで行けることをその友達に教えてもらい、4日間乗り放題で1万円ちょっとという安さにびっくりした。
新潟の越後湯沢では、マンションが余っている、田中角栄氏の政治力頼みで、新幹線が通り、当時はそれでも需要と釣り合っていたのかもしれないが、今や築年数ばかり経過したマンションが安く売りに出されているのだ。
駅近くの「ライオンズマンション」の5階が68万だ(が残念ながら北向きだった)、と父は何度か繰り返した。
私がトイレから戻ると、父の話は海外移住の話になっていた。フィリピンに移住することを夢見て、タガログ語を勉強しようとしたようだ。
「とにかく、ここから逃げたい」
夫は年齢に関係なく、学習意欲が衰えないことをすごいと感心しきり。
確かに、81になって興味を失わず、あれもやってみたい、これもやってみたい、と話が途切れない。
蕨や細竹、タラの芽、アミタケ(キノコ)など山菜取りの話もずいぶんと熱がこもっていた。採るだけでおさまらず、下ごしらえして、保存方法までいろいろと試している。風味や味が損なわれないよう、色が変わってしまわないよう、人に聞いたり調べたり。
例えば、フキは単純に煮ると黒ずんでしまう。イタドリを加えて煮るとピンクになるそうな。
黒ずむ原因はフキのアク成分で二酸化鉄(?間違って記憶してるかも?)を含むからだ、などとまるで化学の先生のよう。そしてなにより、とても嬉しそうに、楽しそうに話す。
採った山菜を食べられる状態にして、行きつけの飲み屋に持参し、お金を払って一杯飲んで帰ってくるらしい。
喜んでもらえると、嬉しいのだそうだ。
あっぱれな81歳である。
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