とこのへや

とこの雑貨と、とこのお洒落着。とこは樺太に住んでいたことがあります。とこの嫁の体験談、日記、備忘など。

息子と病院へ出かけた

2018-04-08 19:10:17 | 日記

こんばんは。

最初に行った時は梅、
次はつくし、それにイヌノフグリ、その次は桜、雪柳。

今日は枝垂桜、山桜、タンポポに万作、ハナミズキ。
芝桜も少し。
駅からバスで15分ほど、バス停から10分ほど坂道を上る間にいろいろな花を数え。

姑 とこ の入院する病院へ、大学生の息子と二人、せっせと足を動かして、坂を登っていく。

「●●高校?来たことあるわ」
「へぇ?サッカーで?」
「中学の時、高校生と試合してもらえるって、別な駅からここきたわ、」

思いがけず、息子は病院が近くなった交差点に差し掛かった時、そう言った。
バスに乗る際にも、見知った学校名を見ては、「あぁ、●●校ってここなんだ」と呟いていた。

実際に現地に赴くと、印象が変わることも多いものだ。

ばぁばのお見舞いに行くには、バスに乗って遠いところへ行かないと、と言って連れてきたが、
サッカーで鍛えた精神(?)で、愚痴も言わず坂を登り、逆に私の息が上がっているのを
「年齢の差だ」と勝ち誇っていたが。

私が少し懸念していたこと、とこ が眠っていてほとんど反応しないのでは、とか、
あれからさらに衰えて、目を開けてくれないのではというようなことは、なかった。

しかして、息子に与えた影響は大きかったと見える。

病室に入った息子は息をのんだ。
こんなにやせ衰えたのかという驚き、生気のなさに対する戸惑い、と言って差し支えないだろう。
もともとぺらぺらしゃべる質(たち)ではないけれど、
だいたいは不遜な反応なので、今日のような、やや絶句に近いトーンはこれまでなかった。
「困っていることはないのか」、とこは孫である私たちの息子に向かって尋ねた。息子はようよう答える。「ない、よ、」
「わたし、今日の日付もわからない」
「今日は4月8日よ。週明けの10日には、また●●さん(夫)くるからね」

先週は意識も明確ではなかった。お風呂に入った日に、ゼリーを食べたと聞いているが、
尋ねてみると、お風呂にどこで入ったか分からない、ここがどういうところか、病院の名前も分からないという。ゆっくりと病院の名を伝える。ゼリーは何味だったの?の質問には、「いろいろ食べさせてくれたけど、どれも、いまひとつ」との答え。
私の中では、先週の様子より とこ は元気にみえた。私は息子の反応には触らず、できる限り平易なトーンでとこに話かける。
「レモン水持って来たけど、飲む? いらない? 今日はね、ブラシ、持って来たよ。」

レモン水は迷ったふうだが、いらないとジェスチャーした。
でも、ブラシは欲しがった。そしてもうかなり細くなってしまった腕を上げて、自分の髪を整えようとブラシを動かした。ぱさぱさの頭皮と抜けた髪の毛が枕元に落ちる。鏡を見たいと言う。
「こんなに薄くなって」
鏡はあいにく持って行っていなかった。iPhoneのセルフィーカメラ機能で見てもらった。
手鏡に比べると、iPhoneは重い。でも、のぞき込んで、自分の髪が薄くなっていると、そう言った。

食事を摂ってほしいと伝えるしかなかった。

「ここに来るのに、結構時間かかるんでしょう?」
そう、とこは聞いた。私も最寄りの駅から昼過ぎ、バスに乗って今着いたのだと、正直に答える。
「だんだん遠くになってるわね」
「今度は近いところにしようね、●●さんもこの間、一緒に戦ってって言ってたでしょう」
というと、急に表情を止めた。この顔は、いわば「No」なのだな。
この話をすると、夫は苦笑した。やっぱり嫌われてると。

しかし、向き合わないといけない。

大学生の息子は、帰り道、「…厳しいですな」と漏らした。

バスに乗って駅に着くと、牛丼屋で軽く食べてから電車に乗った。
私は電車の中では爆睡。

帰宅すると夫は私に何度もありがとうと言った。


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