池宮彰一郎の『高杉晋作』上・下を読んだ。池宮彰一郎は1923年東京生まれ、三村伸太郎に師事し、シナリオを学ぶ。シナリオの代表作が『十三人の刺客』、『雲霧仁左衛門』など。テレビドラマでは『必殺仕掛人』、『水戸黄門』、『大岡越前の守』などの良く知られた番組のシナリオを書いている。思えば、たいした人物である。
『高杉晋作』は、「季刊歴史ピープル」の創刊号に発表され、出版にあたり加筆されたものである。著者は「あとがき」の中で、「著者は、長州の高杉晋作の立場から、維新革命を直視しようと思い筆を執った。高杉晋作は、十八の時。吉田松陰の教えを受け、以後十年、維新革命に尽瘁し、二十八歳で世を去る。その十年のうち、尊王統幕の運動に奔命したのは五年に過ぎない。五年の運動によって、盤石の徳川幕府はゆらぎ、倒壊は時間の問題になるに至った。その五年の歳月と、年来二十三から二十八に至る晋作の客気を描きたいと思った」と書いている。明治維新をめぐる人物像では、西郷隆盛や坂本竜馬が英雄視されているが、高杉晋作の果たした役割は何だったのか、考えてみる必要があると思った。