山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

ことばのサーカス

2013-02-06 13:49:15 | 「レミング」2013
◎「囲碁の都市計画」について【場面3】

寺山修司はアリス症候群だったのでは?と思われる。
つまり、世界が巨大化したりミクロになったりする。本を読んでいると「不思議の国のアリス」が広がる。「レミング」のト書きで「ありふれた東京都品川区五反田駅裏アパート一室」とあるが、この場は囲碁板上のミクロ世界を設定している。ここに登場する大家たち、コックは巨大なガリバーということになる。
大家たちは囲碁をさしながら都市計画している。囲まれたら負けるゲームである。板上では戦争が起こっているのである。戦時体制下の都市。国家権力と民衆の大きさに格差ができる。国家は恐竜、民衆はネズミ=レミングである。

「ある朝、目が覚めたらアパートの壁がなくなっていた。隣人の生活が丸見えなのだ。町中の住民たちは壁の失った部屋にいることができずに、夜になっても町中彷徨い歩いた。町には人があふれ、みんな、壁と『内面の神話』取り戻そうとして群れをなし静かには発狂していった。」
演劇実験室◎天井桟敷26新聞(昭和58年3月15日 発行人 九条映子)より

惑わされることはない。今2013年、お国は戦争の準備を着々と進めている。
寺山修司没後30年、「レミング」をテキストとして私たちは反撃する劇を作る。
ハン劇、歌劇(過激)、ことばのサーカスが蘇る。小劇場は見世物小屋として復権する。