Yoga ~precious moment~

″いま、ここ″ を大切に

『マハーバーラタ』♪

2023-05-10 07:31:00 | yoga
先日のクラスでは、春に暴走しやすい「怒り」に関連して、静寂の物語と呼ばれている、インドの叙事詩『マハーバーラタ』のお話をしました。

まず、 めちゃくちゃ簡単にあらすじを述べますと…
やむを得ず王位を争って戦うことになった従兄弟同士、騙し騙され卑怯な手を使いながら、両者ほぼ全滅の上、最終的に主人公の軍勢が勝ち、その後、平和に国を収める。
主人公たちが寿命を全うして天国へ登ると、そこには敵方の従兄弟たちもおり、全員で幸せに暮らした、というもの。

なんじゃそりゃ?ですよね😅
この物語から読み取れることは何かと言いますと…
主人公;アルジュナの御者として登場するクリシュナという男、実は主宰神ヴィシュヌの化身でして、戦うことに尻込みをするアルジュナをあの手この手で鼓舞し、卑怯な手も伝授しながら、とにかく戦いへと向かわせます。
一つ目の理由は、「戦うことが武士の為すべきことだから」。インドにはカースト制という職業の分け方があることをご存知でしょうか?聖職者、武士、商人、労働者の四つです。アルジュナは武士なので、戦うことが彼の役割なのです。従兄弟たちも、武士としての役割を全うしたから天国に行ったのですね。
そして二つ目は、ここが私の好きなところなのですが、クリシュナは自らを「時間」であると明かします。植物が芽を出し、花を咲かせて実を結び、やがて枯れていくのを管理しているのは誰か?それは時間である。時間であるところの神が、この戦争を起こさせ、そして終結させる。つまり、戦争を起こすのも敵を殺すのも勝つものも、アルジュナではない、神が既に行なっているのである。アルジュナはただ神の道具として行為をなすだけなのだ。(この考えは運命論に分類されますが、私はヴェーダーンタの因果論と矛盾しないと考えています。その話はまた今度。)
つまり、「結果は神によってあらかじめ決められているのだから、人間はその役割に応じたレールの上をただ歩くだけと考えれば、結果に対して一喜一憂する必要もなく心に静寂がもたらされる」と言っているのではないか?ということです。

もしも、結果ばかりを気に病んで心が休まらない方がいらっしゃいましたら、『マハーバーラタ』を読んでみてはいかがでしょうか?
シャーンティ🙏✨


余談ですが、
このクリシュナの「汝、為すべきことを為せ」は、聖書の中でキリストがユダに言った「お前は行って、すべきことをせよ」と似ていますね。キリストは神の決めた結果をあらかじめ知っていたのでしょうか?何が起こるのかは知らなくても、「神が決めたのだ」ということは知っていたのかもしれません。(間違っていたら済みません。)
先日のイギリス国王の戴冠式では、ヒンドゥー教徒のスナク首相が聖書を読み上げました。ご自分の首相就任宣誓式では、『マハーバーラタ』の一部である『バガヴァッドギーター』の上に手を置いて宣誓されたと聞いていますが、これらは矛盾しないのでしょうか?
スワミ・サッチダーナンダは『ヨーガ・スートラ』の解説本の中で、「真理は常に同じ」とおっしゃっていましたが、そういうことなのかしらん?


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