春子さんと、捨てられた白い花の冒険
洋平くんと、無表情なファンの冒険
有希さんと、消える魔球の冒険
3編の連作短編集。
タイトル通りの物語です。
あおぞら町に住む主婦の春子さんが、不思議だな~という町の謎を推理して解明していく物語です。
謎解きなのに小難しいものは何もなく、サクサクと読めて、でも、どうなるか予想もつかなくてひねりも効いています。
一見平和に見える町の中には、全然平和ではないことが潜んでいます。本当は平和ではないのに、平和の仮面を被っています。
その仮面を春子さんが剝ぎ取るのですが、その時の爽快感が癖になりそうです。
もちろん、春子さんひとりの力ではありません。春子さんの謎解きに対する協力者が絶対必要で、春子さんのコミュニケーション力が素晴らしいので次から次へと協力者が現れます。春子さんの人徳ですね。
そして、単なる謎解きの物語で終わらないのがこの本のもうひとつの魅力です。
それは、春子さんの成長です。成長というか、自覚というか、とにかく、目覚めるのです。
春子さんは、決して現状に胡坐はかかない!
それがとても魅力的です。
本文より
けれど、人生の選択は、振り返って正解だったのかどうかと考えることには意味がない。選択させてしまった道を進むしかないのだ。
何ができるのかわからないけれど、何ができるのか考えてみるだけでもいい。考えてみたい。