和泊町玉城という地区に、世之主の恋人であったというミトガネという女性の子孫になられる家があります。
伝承では、このミトガネは世之主の恋人ではありましたが、親がその恋を許さなかったそうで結婚には至っていません。
ミトガネのお腹の中には世之主の子供がいたそうですが、恋が叶わなかったということで、近くの海岸から投身自殺をしたといいます。
これがミトガネについての伝承ですが、世之主は自害した時に奥方と子供が3人いたので、独身時代の悲しい恋の話だと思われます。
この悲しい恋の話には、それと一緒に貴重な物が残されています。
それは世之主が恋仲だった時にミトガネに帯を贈っており、その帯が今でも大切に保管されているといいます。
帯は黄金色の織物で、龍の絵が描かれているそうです。長さ3.3メートル、幅は32センチで二重折になっているそうです。
沖縄県立博物館の鑑定で中国産の絹織物だと判明したようで、5、600年前の物であると鑑定されたようです。
琉球王国時代に王府から地頭代などに下賜品として用いられていたようで、沖縄にはその記録も残っているようです。
私なりに考察すると、この帯は島が北山領時代の島主であった世之主の所有物であったのですから、琉球王府からの下賜品ではないということです。もし王府からの下賜品であったのでしたら、それは第一尚氏以降の琉球統一後ということになり、北山時代の世之主ではないということになります。
このミトガネの子孫のお宅には、もしかしたらもう少し詳しい話が伝承されているのかもしれません。当家のご先祖様であった世之主からの贈り物であったのか、それとも別の時代の世之主からの贈り物であったのか、非常に気になるところではあります。
いづれにしても何百年もの間、大事に大事に保管されてきた大変貴重な帯、これからも歴史あるこの帯を大事に保管していってほしいですね。
そしてこの黄金色の貴重な帯を、一度拝見してみたいです。
沖永良部島に残る世之主に絡んだ伝承と、大変貴重な現存する帯のお話しでした。