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先祖を探して

Vol.322 チュラドゥールにまつわる人物

当家のご先祖様が眠っておられるチュラドゥール。このお墓の建築は、数年前に行われた調査によると18世紀ごろということですが、大和式の墓石が並ぶ最前列の東側中央にある墓石が、分家である当家:上花城のものです。
この墓石は、1760年に上花城のご先祖である池悦が、鹿児島の山川から購入したものです。
よって、このお墓チュラドゥールは1760年には既に存在していたことが分かります。

このお墓は、前回書いたように世之主の墓を作る時に沖縄から来た石工のニシトウに頼んで作ってもらったといいます。しかし世之主の墓とチュラドゥールは建築された時代が少し違うようで、この建築についての伝承が真実であるかはいまのところ分かりません。しかし全くの嘘を建築の由来とし伝承してきたとは考えにくく、口碑伝承をしていく中で少しずつ内容が変わってきたのだと思います。
個人的には石工のニシトウという人物がこのお墓を作ったというところは真実なのではないのかと思っております。

そしてこのお墓の建築にまつわるもう1つの伝承。それは、なぜ宗の本家がこのお墓にいないのかについてです。
それはお爺さまの記録によれば、墓主問題があったようです。
よくありがちな権力の象徴として、「この墓は我が一族の、、、」とかいうことで、墓主争いでもありそうですが、どうもこの墓を作った宗家と豊山家はそうでは無かったようでうす。それは島での墓に対する考え方にあったようです。
お爺さまの記録によれば、墓主になると子孫が繁栄しないという言い伝えが当時はあったようです。
これは共同墓地の墓主のことを指しているのではと思われます。そうでないと一族の墓は作れないことになりますからね。
他に何か由来や意味があったのか知りたいところですが、そこは謎です。

そんな不思議な言い伝えにより、墓は作ったが、宗家も豊山家も譲り合いの精神で墓主をお互いに譲り合ったのだそうです。墓主が決まらないと困ったものです。そこで豊山家から提案があったのです。

その頃、鹿児島から流罪で島にやってきてた「松下太郎」という人物がいたようです。この人物、島に身寄りもないため子孫繁栄など気にすることも無いので、この人を墓主に立てたらどうかという話です。松下本人は、「どうせ独り身。こんなりっぱな墓の墓主になれるなんて光栄だ。」といって大変な乗り気だったそうです。
しかし、宗家はそれが気に入らなかったようでした。この松下太郎、流刑の理由は分かりませんが、その頃の流罪の地は鹿児島から遠ければ遠いほど重罪の者がやってきます。鹿児島から遠い沖永良部島には政治犯も含めて重罪人がやってきてたわけです。彼も重罪人ということです。その流刑人たちは、島ではわりと自由に生活していたようで、この松下太郎はこともあろうに宗家の屋敷の上の方に住んでいたのだそうです。
宗家の屋敷は直城という丘の頂上付近にあったといいます。理由は不明ですが松下はそれよりも上に住んでいたそうで、宗家としては流刑人の下に自分たち
が住んでいることが少し気になっていたようです。

そして墓主を松下太郎にすると、遺骨を入れた厨子甕は、墓主である松下のものが最上段に置かれることになり、自分たちのものはその下ということになります。現世も松下の下、あの世も松下の下、それが宗家としては許しがたいことであったようで、結果的に宗の本家は別の場所に墓を作ったのだそうです。
しかし、何故か分家であった屋号:上花城の方は、チュラドゥールをお墓として使っています。こちらは分家として屋敷は別の場所にあったので、松下太郎が墓主であっても気にならなかったのか?理由は分かりませんが、1760年に墓石を建立して以降、現在に至っております。

この松下太郎、いったいいつ島にやってきたのか?
・薩摩侵攻(1609年)以降に島にやってきた。
・チュラドゥールを建築した頃(1700~1760年頃)に島で生きていた。

お爺様の資料を探してみると、松下太郎はどうも1692年以降に島にやってきているようです。正確には分かりませんが、記録の書かれた箇所-を見ると恐らく1700年代前半だと思われます。そうなれば、1760年に墓石を建立したあたりがチュラドゥールの出来た年だと見ても、松下太郎の墓主伝説は年代的にもありえる話だと思います。



現在のチュラドゥールに本当にこの方の遺骨が安置されているのかは不明ですので、次回島に行った時に確認してこようと思います。

時代の移り変わりの中でどんどんと消えていく口碑伝承、松下太郎墓主伝説はしっかり記録しておきます。


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