沖永良部島内城の小高い丘にある世之主神社は明治3年頃に建てられています。
その神社の神主をしていたのが、当家のお爺様である宗 義経です。
我が宗家は神社建立時から神主をしていて、義経で3代目だったようです。義経家族は昭和28年に島を出て九州の方で生活を始めています。そのあたりの島の時代背景や経緯やなどは、別記しようと思います。
義経が島を出た後は、親族の人が神主をされていましたが、その方も2018年頃に亡くなって、現在の神主については、私の方ではまだ確認出来ていません。
現在の社殿は2018年に老朽化により新社殿に建て変わり3代目です。新社殿の建築にあたって、当家の親族である島に在住の桂さんが発起人となって寄付を募りご尽力されたと聞きました。
島に在住の親族が、先祖と子孫のために活動されていることには感謝いたします。
さて、この神社がある場所が1400年初頭に島の島主であった世之主が居住していた城跡なんです。近年までずっと亜熱帯の木々に覆われて丘の全貌が見えてなかったのですが、2017年に発掘調査の為に木々を伐採してみると、城のあった時代の石積みの城壁跡などが出てきたそうです。
Googleマップやearthで検索してもらえれば見ることが出きます。
世ノ主神社の動画はこちら↓
世之主は中山の和睦船を攻められたと誤認し妻と長男の3人で自害したのですが、乳母のマスガネが長女（当時５歳）と次男（当時３歳）を連れて徳之島に逃げていたそうです。その後、中山王の取り立てにより二人は沖永良部島に帰島し、城跡は幼子は居住しにくいだろうということで、城のすぐ横の小高いところに居住したそうです。
城を直した場所と言う意味で、その場所は直城（なおしぐすく）と呼ばれています。
その直城ですが、戦後の畑の土地改良の客土の為に丘は削られて、現在は畑となってしまい当時の面影は無いようです。
しかし、世之主の徳之島に逃げてその後は直城で成長した次男の子孫である当家は、代々この直城の土地に住んでいたそうです。
もちろん今は畑となっており、所有者も違っております。その土地に住んでいた先祖で生きている人ももういませんので、伝承だけで証拠がありませんでした。私は何とか宗家の所有地であり居住していたことが確認できないかと模索していたところ、土地台帳の存在を知りました。
土地台帳とは
土地台帳とは、もともと地租（ちそ：土地に対して課せられる租税）徴収のため設けられた課税台帳のことです。
1582年頃より、豊臣秀吉によって全国規模で土地調査を行なう「太閣検地」が行なわれ、それは江戸時代まで続きました。この検地によって石高（こくだか：土地の生産力を米の量で表したもの）制度は開始され、田畑や屋敷などの地目ごとに面積や石高、等級などをまとめた帳簿である検地帳を作成しました。これが土地台帳の元となっています。
これが当家所有の土地の1つである土地台帳です
明治新政府の樹立後は、土地の私有が認められ、課税制度は年貢から地租へと変わりました。その後、さらに地租改正が行なわれ、一定の税率のお金を納める仕組みがはじまり、”税金”という概念が生まれました。
1874年から7年という歳月をかけ、固定資産税の徴収を目的に作成されたのが土地台帳です。土地台帳は税金の徴収に使われるものなので、明治から昭和にかけての期間は税務署で管理されていました。
しかし、1950年に行なわれた税制改革で地租は廃止され、各市町村で固定資産税の徴収を行なうようになったため、土地台帳は不要とされ、1960年頃から法務局が保管するようになりました。
土地台帳は残されているのか？
明治時代だとかれこれ今から１００年以上前で、果たしてそんな台帳が今も保管されているのか? 無理かもしれないと思いつつ、奄美大島の法務局（沖永良部島はここで管理されてます）にご協力いただき、土地台帳を探してもらい明治初期の世之主神社一帯の土地の所有者を見つけることができました。
土地の所有者はお爺様が書き残した古地図の通りでした。宗家一族は明治初期までは古代からずっと城跡周辺に居住していたのです。
掲載した土地台帳にある土地以外にも、城跡周辺に沢山の土地を所有していたことがわかりました。しかし、明治期になって所有者が変わっていっています。居住している土地以外は山林や林がほとんどだったため、明治期以前は穀物の収穫なども無かった土地なので年貢が課せられることは無かったけど、明治期以降に土地そのものに課税が始まったので、課税されるだけの遊んでいる土地は売却していったのでしょう。
この土地から離れて島の別の場所に移った背景は別記したいと思います。
