非才無才の雄叫び

つぶやくこと、叫ぶこと、すべてボケ防止だ!

安倍首相の「アーリントン墓地」発言のトンチキ!

2013-07-02 23:53:25 | 日記
曾野綾子氏の「人間にとって成熟とは何か」の欺瞞!
6月21日の読売新聞に「語る・歴史問題」というインタビュー
形式のコラムがあった。今回は東大教授の御厨貴氏が「靖国参拝は日
米関係冷却」と題して論述している。
この中で御厨氏は安倍首相が靖国参拝への批判の反論としてアメリカ
のアーリントン墓地を例に出して最近も中央公論のインタビューで「南北
戦争の北軍の兵士も南軍の兵士も眠っている。大統領も一般の人たち
も足を運んで祈りを捧げる。ではそこに行く人々は、南軍が守ろうと
した奴隷制度を肯定しているのか?そんな人間は1人もいない
」と指摘し
ているらしい。御厨氏曰く「ただ、靖国の場合、単に戦争の犠牲者の御
霊を慰めるというふうにアメリカが受け止めてくれるかどうか。『先の戦
争は侵略戦争ではなかった』との主張につながるのではないか、とい
うように、そこに歴史の修正を迫る可能性を見出したとしても不思議
ではない。少なくとも、純粋な慰霊の話ではないと。だからアーリン
トン墓地のたとえだけでアメリカを納得させることはおそらく難しい
でしょう。
。」と、随分と遠慮がちな危惧を表明している。
 安倍首相の例えの仕方は、一国の宰相が述べるには余りにも軽薄
だ。御厨氏は遠慮して指摘しないが、まずアメリカの失笑を買った
に違いない。「奴隷制を守ろうとした南軍の兵士が眠っている
墓地へ足を運んだからといって奴隷制を肯定しているとはならない
。」と言っているのだが、つまり何を言いたいのかといえば「靖国
神社が太平洋戦争の戦犯を祭っているからといって参拝している人
たちは侵略戦争を肯定しているのではない」と安倍首相は言いたい
のだ。そして、その先にあるのが国際世論の批判を受けて否定した
「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国との
関係でどちらから見るかで違う」という4月23日、参院予算委での
答弁となる。なんともさびしい貧弱な発想。頭が良いとはとても言
えない。「アベノミクス」などと持てはやされて一見、頭脳明晰の
ように見えるが「アーリントン墓地」の例えは、さにあらず。これ
が安倍首相の地であろう。もっとも「アベノミクス」にしても安倍
氏のブレーンが考えたことで、本人がブレーンのレクチャーを受け
て主張し政策にしているに過ぎないはずだ。(首相はこれでよいの
だが・・・・)また拉致問題も安倍氏が主張し、これがきっかけで頭角を
現したかのようにいわれているが、実際は小泉内閣の内閣官房参
与だった中山恭子氏が拉致被害者5人に故国の土を踏ませ北朝鮮
へ返すべきではないと強く主張したことに安倍氏が同調して自ら
も、その主張を繰り返し行なったことから衆目を集めるようにな
ると、中山氏は影が薄くなり、いつの間にか国会議員である安倍
氏の主張のごとく取り扱われて、それが小泉後継へと繋がったと
いう話がある。つまり手柄を安倍氏が横取りした形となった。そ
もそも拉致問題では中山恭子氏には北朝鮮の拉致問題以前に実績
がある。1999年8月、中山氏が特命全権大使になったばかりの時
にキルギスの日本人鉱山技師を含む7人がウズベキスタン反政府
武装グループに拉致された。この時、外務省は中山氏に「キルギ
ス政府に一任せよ」と指示したが、中山氏は外務省の方針に背き、
救出劇の先頭に立って人質の救出に成功したという華々しい逸話
があるくらいだから、手柄を横取りできた安倍氏は実に運が良か
ったということになる。ところが、小泉後継として安倍氏が首相
になり幅を利かすようになると中山氏は内心面白くなかったはず。
その証拠に、やがて自民党を離れることになる。
 話は横道に逸れてしまったが、とにかく安倍首相の「アーリン
トン墓地」の例えは珍妙で筋違いの論法だ。なぜなら米国の南北
戦争は米国の内戦で他国を侵略した戦争の話ではない。更に「ア
ーリントン墓地」は国営で宗教法人でもない。宗教を問わず埋葬
できる。もっと詳細に記述すれば、「アーリントン墓地」は「寺
院」ではなく「墓地」であるため、故人の墓碑の前で礼拝なり慰霊
をするのに対し、「靖国神社」は戦犯を合祀している「拝殿」で
「英霊」や「戦犯」も含めて同時に礼拝することになる。しかも
「靖国神社」は宗教法人だ。形や状態から比較しても、これほど
の違いがあるというのに、この判別もつかない安倍首相の頭脳は
実にさびしい限りだが、首相のこの発言を玉石混淆と笑ってすま
されるものではない。明らかなプロパガンダだからだ。従って「
に(安倍首相が)靖国に参拝したとしたら、やはり日米関係は冷え
込む恐れがあります
」と指摘した上で「歴史問題で日本の味方を
してくれる国際世論は、残念ながら形成されているとは言えま
せん。にもかかわらず日本国内で、日本語で自分たちだけに通じ
る論理で話していてもだめです。靖国の問題も、本当に『慰霊の
ためなんだ』『歴史の修正じゃないんだ』と言うなら、それを相
手の言葉で発信し、相手の理解を得る努力を重ねるべきでしょう

と警告するが「国際社会への発信も説得の努力もしないまま、靖
国に参拝したら、アメリカと中国と韓国から、戦前のABCD包囲網
のように日本包囲網を作られてしまう恐れがあります
」という
部分は御厨氏の過剰反応で杞憂に過ぎない。なぜか。現在の状況
は尖閣や南シナ海を巡って中国異質論があるからだ。特に尖閣に
対してはオバマ大統領が中国の習主席に「同盟国が脅迫を受ける
ことはがまんならない」と釘を刺したようにアメリカが包囲網に
加わることは断じてない。中国の東シナ海での覇権に対して日米
韓のより緊密な連携が必要な時に「靖国」等の歴史問題で日韓の
間にこれ以上の亀裂を生じさせないようアメリカは気をもんでい
るのは確かだが、中韓の包囲網形成に参加することはない。よし
んば、次の参議院選に自民党が大勝利して浮かれた挙句、またぞ
ろ慰安婦問題等歴史認識で失言が続出し、首相が靖国神社に参拝
したとしても、米国の極東戦略の要である日米韓の連携に楔を打
つことになるため日米関係が一時的に多少後退するかもしれない
が、中国と米国が連携して日本を包囲することはありえない。
 それは過去に実証済だ。小泉首相の時、小泉氏は自民党総裁
としての公約を守るために中国や韓国との軋轢も厭わず靖国参拝
を確か3度か4度ほど強行した。にもかかわらず日米同盟は揺る
がなかった。しかし、その経緯を踏まえた米国の極東アジアに於
ける軍事的プレゼンスは変更を余儀なくされた。つまり日本を極
東アジアのバランサーとして期待していた米国を日本は完全に裏
切ってしまったため、米国はむしろ日本の暴走を抑えるために在
沖縄海兵隊司令部を後方のグアムへ移転させ日本をより軍事的に
取り込む方向へと舵を切ったのだ。
 ただ御厨氏の「相手の言葉で発信する」という忠告は、十分
に説得力がある。例えば、先だって橋下大阪市長が「ぶら下がり」
で発言した「従軍慰安婦」問題は、本人の真意が伝わらないま
ま世界を駆け巡り弁明に狂奔せざるをえなかった。弁護士が自
己弁護に懸命になっている姿は滑稽そのものだったが、見かね
た石原慎太郎共同代表が「文章で発信すべきだった」と注文し
たものの、都議選の惨敗は免れなかった。これらのことからも
発信するならば相手国の言葉を用いて文章で行なうべきだろう
が、たとえそうしたとしても歴史認識に関連して過去の内閣総
理大臣が表明した「村山談話」を覆す試みは国際世論の非難を
受け孤立し蔑みを受けるだけだ。それよりも、むしろEUの中核
となっているドイツのようにサッカーW杯で謝罪したくらいの
度量があるほうが良いのではないか。

安倍ちゃん

「アベノミクス」を実現し

デフレを脱出するには

長期政権が必要だ

本心を明かさずに

国際世論、国内世論を味方にして

がんばってほしい