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「論争」についての当方のコメントのブログ
河野談話検証は「産経報道を否定」 朝日新聞の「断定」に根拠!を書
きながら、ちょっと気がかりなことがあったので調べてみた。
この当ブログのタイトルは産経ニュースのタイトルを、ほぼそのまま模
したものだが、産経ニュースのタイトルには、その書き出しに【歴史戦
番外編】の文言がある。【歴史戦 番外編】というからには、ずっと以前
から【歴史戦】のシリーズを展開しているのだろう。
当方は、この【歴史戦】という言葉が気になった。初めて聞いた言葉だ
が、これは産経新聞の政治部記者が考えた、気の利いたつもりの造語
なのだろう。つまり若い世代にも受け入れやすいように直感的でセン
セーショナルな言葉を考えたつもりのようだが、メディアに携わる者
が、このように安直な造語を作って、堂々と使っているところに産経
新聞のレベルの低さがある。
産経の記者は【歴史戦】の概念や定義について記述することができるの
か?【歴史戦】という文言は、通常「歴史の戦い」とは言わないから
【歴史戦】という文言を解釈するには無理がある。
それでも強引に解釈したとして「歴史上の戦い」か「歴史的な戦い」と
言い換えるのが限度だろう。結局、記述する文脈から判断するしかない。
そこでようやく「歴史認識に関する論戦」と解釈させたいのだというこ
とが分かる。それだったら【史観論戦】とすべきではなかったか。
そもそも新聞記者というのは記述する文言について、こんなに無造作
に、かつ安直に造語をつくっていいのか?文筆業に携わる人間が、こ
のように日本語を安易に乱すのは如何なものか。勝手な低レベルの
造語で記事を書き読者を引き込もうとする産経新聞の記者は政治記
者の風上にも置けない。
ともあれ「歴史戦 産経新聞」でネットを検索することにした。すると、
ずらりと「歴史戦」の項目が並ぶ。トップは「【歴史戦 第1部 河野談
話の罪 1】裏付けなき糾弾許した日本外交の事なかれ主義、決別の
時」から始まっているようなので、当該の【歴史戦】シリーズは「河野
談話」を「元凶」と決め付けて論旨を展開している模様だ。
覗いてみることにした。
読んでみると、産経新聞の政治部記者の熱い思いは伝わってきて、
一部を除けば意外に説得力がある。そのことから「第一部の1」に関し
ては全文を転載した。
「【歴史戦 第1部 河野談話の罪 1】裏付けなき糾弾許した日本外交の
事なかれ主義、決別の時」2014.4.1 09:46 (1/2ページ)
[「慰安婦」問題]
「まともな裏付けもないまま一方的に日本を糾弾したクマラスワミ報
告書と、それに対する日本政府の事なかれ主義的な対応は、歴史問
題に関する戦後日本外交のあり方を象徴している。
1996年3月、国連人権委員会でのクマラスワミの演説を現場で
聞いた元在ジュネーブ国際機関代表部公使、美根慶樹はこう振り返る。
「ものすごい力があり、彼女が舌(ぜっ)鋒(ぽう)鋭く『ワーッ』と
説明すると、聴衆はスタンディングオベーション(立ち上がっての拍手
喝采)だ。日本政府には答弁権を行使して反論することは制度上認め
られていたが、そうしたら大変なことになっていた」
クマラスワミは「かわいそうな元慰安婦のおばあさんたちのため一
生懸命働いている」(外交筋)と評価されていた。
個別の事実関係の誤りを指摘しても「日本が悪者になるばかりで逆効果
だった」(同)というのだ。クマラスワミと面識のある当時の日本政府関
係者もこう語る。
「慰安婦問題だけでなく歴史全般がそうだが、日本国内のまともな議論
は英語になっていない。英語に訳されているのは左翼系メディアや学
者の文章だけ。だから国連人権委にはもともと一定の方向性がある。
報告書も相場からいえば『まあこんなもの』だった」
とはいえ、日本が歴史問題で相手と事実関係を争わず、過去に積み
重ねてきた謝罪や補償の実績ばかり強調してきた結果、今どういう
事態が起きているか日本政府筋は「30万人という数に根拠は全くない」
と不快感を示したが、これまで中国にこの極端な誇張を改めるよう
きちんと求めてこなかった。それどころか、前面に「300000(30万)
」という数字が掲げられた南京大虐殺記念を、元首相の鳩山由紀夫や
村山富市、元自民党幹事長の古賀ら政界の重鎮が訪れては謝罪を繰
り返している。」
ここまでの論説には全く異論はないし、むしろ言説に同調して外務省
や元首相の鳩山由紀夫氏や村山富市氏、元自民党幹事長の古賀氏ら
には義憤を感じる。しかし、この後は従来の「河野談話元凶論」を
述べているので、折角、盛り上がった論説の勢いが、最後になって
急に萎んでしまって、論理矛盾だけがクローズアップされるという
始末だ。
「戦後の日本は相手の宣伝工作に有効な反撃を加えるどころか、自ら
進んでそのわなにはまってきた。その象徴が強制連行を示す文書・
資料も日本側証言もないまま「強制性」を認定した河野談話だ。」
振り返ると「河野談話」には「強制連行」という文言は一切
出てこないのに、産経記者の記述は相変わらずの「河野談話」元
凶論だが、まず、太字の部分の記述は、何気ない感じで、さらりと
「すり替え」を行なっている。つまり「強制連行」と「強制性」は
意味が違うのに、イコールであるかのように記述して巧に?読者を
誘導しようとしている。「強制連行した」と「強制性があった」
とは明確に違うのに、だ。この部分の記述が意図的ではないという
のであれば、表現力、読解力(自らの文章を推敲するには、ある程
度の読解力も必要)が低いということになる。こんな文章を書いて、
よく新聞記者をやってられるなと笑わざるをえない。如何かな?
産経の政治部記者殿。
話が横道に逸れてしまいそうなので先へ進もう。
そもそも「河野談話」は韓国の従軍慰安婦問題が端緒ではあった
が「河野談話」そのものの性格は、談話中に「戦地に移送された
慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大き
な比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、
その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人た
ちの意思に反して行われた」と朝鮮半島出身者に配慮はしつつも
朝鮮半島出身の従軍慰安婦のみを対象にした「談話」ではなかっ
ただけに、「河野談話元凶論」はバタビア軍事裁判「白馬事件」
の「強制連行」をも否定することになっている。これがオランダ
をはじめ欧米の「河野談話見直し」に反対する根拠となっているのだ。
さらに「河野談話政府検証報告書」が、「強制性があった」とする「河
野談話」に齟齬はないと認定しているにもかかわらず、産経の政
治部記者は自らの言説の誤りを認めることも正すこともせずに、
「河野談話元凶論」を執拗且つ頑迷に主張しつづけて恥じない。
また国連のクマラスワミ報告書を取り上げて外務省の対応を批判
するなら、当然、「河野談話」発表前から日本の従軍慰安婦問題を
「性奴隷」として取り上げるよう国連に働きかけてきた日本弁護士
連合会こそ問題にすべきだあろう。これを取り上げることなく
「河野談話」に、その元凶があるとする言説は正に論理のすり
替えにほかならない。
さらに「自ら進んでそのわなにはまってきた」などと
由々しき言辞は、あまりにも一方的な決め付けで、従軍慰安婦問題
に反対してきた保守論壇・論客、保守系国会議員団、そして
「河野談話見直し」を主導してきた産経新聞をはじめとした保守
論壇側の問題を全く棚上げにした論考だ。
以前にも当ブログで言及したように、今日の従軍慰安婦問題は
【・・・・日本が教科書から「従軍慰安婦」の記述を削除したことに端を
発しているからだ。 かつて教科書問題を巡っては「新しい歴史教科書
をつくる会」の西尾 幹二氏らを中心に、自民党国会議員たちも「日本の
前途と歴史教育 を考える議員の会」をつくり、「従軍慰安婦」など子供
たちに教える ことはできないと、教科書から「従軍慰安婦」を削除する
よう運動し て、日本の教科書から「従軍慰安婦」の記述をなくしただけ
ではなく、自民党の国会議員を中心とした保守系議員のあらぬ失言は
韓国社会の反発を招き、今日の「従軍慰安婦問題」に発展したのだ】
このように自らの責任を転嫁するようでは、歴史認識の一致を見る
ことは極めて困難だ。
そもそも「河野談話」を発表するに当たって、将来、発生するであろ
う「河野談話」を中心としたリスクに備えるという構えが外務省に
なかったのが、日本のその後の国際的な対応を「事なかれ主義」にし、
そして、保守論壇の暴走を許してしまったといえる。
さらに「世界に日本政府が公式に強制連行を認めたと誤解され、
既成事実化してしまった」という言辞も同様だ。
「河野談話」発表によって、本当に「日本政府が公式に強制連行を
認めた」ために「世界に・・誤解され」たのだろうか?これも全くの歪曲
で「日本政府が公式に強制連行を認めた」わけではない。
先述したように「河野談話」発表以降、日本側の保守論壇等の喧騒
が今日の従軍慰安婦問題がこじれてしまった原因の一つだ。
しかも「偽りの友好にまどろんできた日本が腕をこまぬいている
間に、中国や韓国は着実に歴史問題で地歩を固めていった。今
後、日本は事なかれ主義と決別し、砲弾ではなく情報と言葉を駆使
して戦う「歴史戦」に立ち向かわなければならない」などと一方的
である。外務省の事なかれ主義は、確かにそのとおりであろうが
「偽りの友好にまどろんできた」とは、どういう部分を指すのか?
従軍慰安婦問題に関する韓国政府の対応を「偽りの友好」と
言いたいのか?1990年からの貿易の拡大は「友好」とは関係ない
のか?1990年から2004年までの韓国の対日輸出は1.7倍の210.01億
ドル、対日輸入は2.5倍の461.44億ドルに拡大していて、今年の
7-9月期に韓国の対日赤字が5000億ドルを突破するといわれている。
日本は「まどろんで」なんかいない。しっかり稼いでいる。
それに「中国や韓国は着実に歴史問題で地歩を固めていった」の
だろうか?いくら中国が世界各国で「南京大虐殺は30万人で日本は
歴史を逆行させようとしている」と喧伝していても、さほど浸透
しているようには思えない。ドイツなどはあからさまに迷惑そう
だった。
また韓国も「告げ口外交」をしても諸外国の首脳は社交辞令の対応
しかしていないはずだ。産経の政治記者が引き合いに出す歴史学者
の秦郁彦氏の言説のとおり「米国などの先進諸国に対して『慰安婦
の強制連行を示すような証拠はない』という事実を伝え、理解して
もらうことのほうが、日本にとっては重要」で今後の日韓関係は
『放っておけ』と言うのが秦氏の考えで「日韓関係を修復する時は
、必ず日本から持ちかけるというやり方」は、「そろそろやめたほ
うがいい」とし「韓国に対しては的確な反論を行なうことも重要だ」
と読売新聞の8月7日付けの「朝日慰安婦報道 日韓関係の行方
識者に聞く」で語っている。
産経の
政治部記者よ
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そろそろ
騒ぐの止めたら、どうだ
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騒げば騒ぐほど
ぼろが出る
ばかりじゃないか
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