漫トラ日記

現実生活空間&脳内妄想空間を日々マンガに浸食される主婦の怠惰な日常

マンガ家と編集者

2008年06月13日 02時50分41秒 | マンガ
※勢いに任せて投稿したので、ちょっと言葉足らずでした。
なので、少し編集し直しました


ちょっと旧聞に属するけど
<金色のガッシュ!!>作者が原画紛失の小学館提訴と言うニュースがあった。

残念ながら、このマンガも作者の雷句誠氏の名前も知らなかったので
このときは、「だらしないなぁ小学館。しかも、賠償金超安っ!!」くらいしか思わなくて軽くスルーしていたのだけど
満棚通信さんのブログ『壮絶な「裏」まんが道』を覗いてみたら、かなり奥深~い問題だったようだ。

驚いたのは雷句氏の提訴に対して、続々漫画家さんたちから応援メッセージが着てること!
ことに新條まゆさんのブログ「思うこと」「その後」の記事にビックリ!

リンク先の記事を読んでもらえば分かると思うけど
新條さんのイメージが180度大転換!
失礼ながら、あの「快感フレーズ」(恥ずかしいくらい臭いけど、意外と面白かった)の作者なんで
やっぱりそういう目で見ちゃってたけど、
書かれてる内容もさることながら、理路整然とした文章を読むと
とても意識の高い人だったんだなぁと。。。失礼しました!
(もっとも、彼女のマンガが好きかどうかとは別問題)

これだけの文章を書いてるのに、100%嘘と言うことは考えられない。
マンガ読みとしては当然心情的にマンガ家の味方をしてるけど
このほかにも
週刊サンデーに漫画家続々苦言 小学館はどうなっているのかの記事なんか読むと
分が悪いぞ、小学館!

ついでにこの問題をネットで色々検索してみたら、まとめ記事を見つけた
        ↓
雷句誠が小学館を提訴まとめ

これ読むと、本当にマンガ界の反応のすごさが分かります
それだけ、漫画家さんたちがいままでないがしろにされてきた、って言う証拠なんだよね

親の死に目にも会えなかった、と言う惣領冬実さん

やっぱり原稿をなくされたって言う新條まゆさん

他のマンガ家さんからも編集者から罵詈雑言を浴びせられた話から
愚痴めいた話まで、いろいろ出るわ!出るわ!


こうやって、あちこち読んでくと
なんてひどい出版社だ!って思いたくなるけど
編集にも言い分はあるようで。。。

編集者の竹熊健太郎氏のブログたけくまメモ の「マンガ界崩壊を止めるためには」(1)
には考えさせられました
続きの(2)が楽しみです

勿論、氏は係争中の雷句氏の直接的関係者じゃないから
一般論ではあるものの、今の出版会の現状を分かりやすく解説してくれて
今後のマンガ界の行方について、とても考えさせられました。


もう一つ
編集者の立場からこの騒動を述べたもの

ラノ漫―ライトノベルのマンガを本気で作る編集者の雑記― 「マンガ家はなぜ出版社と対等になれないのか」

編集者とマンガ家間の葛藤ってのは昔からあったこと(勿論当事者じゃないので、話に聞くだけ)だけど
マンガの社会的地位の向上に伴い、マンガ家の意識は大きく変わっていったのに
出版界の意識は前近代的だって言う見方
フリーランスの職業人vsサラリーマンの編集者と言う絶対的な意識の違い
漫画ばっかり書いてきた世間知らずの若者(一般的な話)vs一流大学出のエリート
と、こんな対立の構図は素人にも容易に想像は付きます。

高度経済成長期までは普通のサラリーマンも残業は当たり前
ましてや、出版界ひいてはマスコミ産業は夜討ち朝駆けは当たり前の世界だったはず
それが土日は絶対休みなんて。。。そりゃ、会社としては土日も仕事しろとは言えないけど
絶対に社外の人間に吐き捨てる言葉ではないですね~
土日にきっちり休みたければ、出版社なんかに就職しなければいいんです!

原稿の紛失も、安野モヨ子さんの「働きマン」を見ると想像できる感じ
編集室のあの戦場のような状態では原稿の紛失も有り得ますって!
問題は紛失後の対応でしょう
編集部も原稿の紛失は大問題だと充分認識しているはず
ここからは想像なんだけど
紛失が大問題で、悪くすると上の責任まで問われかねない問題だからこそ
ウヤムヤに済まそうとしたんじゃないかな
責任重大だと、そこから逃げ出したくなるのが人情だからね~
今までの作家さんはそこで泣き寝入りしてたんだよ、きっと
でも、雷句さんは今までの鬱憤が溜まりに溜まっていたから
黙っていなかった!
で、大会社の事だもの
補償のための稟議、稟議、となる。。。
ああだ、こうだと、待たされた挙句、スズメの涙の賠償金で
プチッと切れたんだろうなぁ~~
個人が大会社と交渉するって、ホント大変なんだよね~
特に窓口がペーペーだとさ。。。

2chも覗いて来たら
雷句氏関連のスレッドがいっぱい立ってる!立ってる!
別に目新しい情報は無かったけど
夏コミで小学館ブースに抗議しようとか
小学館のマンガを不買運動しようとか言う書き込みあったわ
でも、小学館のマンガって最近あんまり買ってないような。。。
24年組の頃は新刊をあんなに買いまくっていたもんだけどね


そうそう
「少女マンガ展」の図録の中で一条ゆかりさんが
「編集の悪口を言うマンガ家は三流四流なのよ。
担当マンガ家が売れなければ良いとおもってる編集はいない」てな事を述べてた。

勿論それは、独りよがりなマンガを描いてる、
作家性てものを勘違いしているマンガ家さんたちへの
一条さんらしい辛口メッセージなんだけど
あまりにタイムリーな言葉なんで、
今回の騒動で、ついそれを思い出してしまった。

いや、雷句さんがそうだって言う訳じゃないですよ!
アニメ化までされた売れっ子なんだから、絶対に独りよがりとは言えない!
しかも、陳述書やあちこちの情報から想像するに
対立の原因の一つは
人気があるんで物語を引っ張りたい編集ときっちり終わらせたい雷句さんとの確執の様子。。。

要は、一条さんの言葉を聞いた時「さすが一流!」と感心したんだけれど
マンガ家と編集の関係って、実際はこんな奇麗事では済まないという
厳しい現実を見せ付けられたって言うか。。。(←今頃かい!?)
マンガが売れなくて良いと思っている編集者はいないと思うけど
(出版社の飯の種だからね)
こいつの代わりのマンガ家なんていっぱいいると思っている編集者は居るかもしれない
って事ですよ
売り上げと自分の実績、上司の顔色ばかり伺って
肝心のマンガに対する情熱がそれを下回るようなサラリーマン編集者(サラリーマンだから当然と言えば当然)
でも、そういう空気は相手にも伝わるもんだよね
それで、自分を大切にしている作家との関係が上手く行くはずも無い、と思う。

途中まではすごく面白かったのに
引っ張りに引っ張られてラストでがっかり!というマンガを読まされた人は少なくないはず
逆に、次の展開をワクワクして待っていたのに、
急に尻すぼみで終わってしまったマンガを挙げれば枚挙にいとまが無いくらい
その辺の陰の実情が、雷句さんをきっかけに噴出してるって感じです


とりとめも無い事をだらだら書き綴ってしまったけど
私の書き込みより、リンクしてあるサイトに行って見てください
とっても考えさせられます
今後の漫画界はどうなって行くんだろう。。。

ただ一つ私に言えるのは、
この問題提起をきっかけにマンガ界が
マンガ好きがもっと良いマンガを読めるような方向へ向かって行って欲しいって事です

※最後に雷句氏の弁護士小野智彦氏のブログをご紹介
        ↓
【ガッシュ訴訟】陳述書公開についての担当弁護士としての見解...2008年06月12日


さすがに弁護士さん今回の問題点を分かりやすくまとめて下さってます。