漫トラ日記

現実生活空間&脳内妄想空間を日々マンガに浸食される主婦の怠惰な日常

『井上雄彦 最後のマンガ展』

2008年06月25日 10時23分58秒 | マンガ
行ってきました!これに~     

実は、私、これをやってるって全然知らなくて
たまたま、ねたろ~さんの所で知ったくらいで
それを大ファンの娘その2に教えたら
「会社帰りにもう行った。」
「えっ?お母さん、知らなかったの~!?」と
あっけらかんと、言われてしまった。。。
冷たい~~

気を取り直して、次の日チケットを買いに行ったけど
どこのチケット屋に行っても売ってない!
そしたら、全部チケットぴあの独占販売で招待券も出してないという話
すごいわ!井上雄彦!

仕方ないので、ぴあの窓口まで行きましたとも!
(コンビニだと手数料を取られるからね
チケットも平日昼間、平日夕方用、土日用と3種類もあって
私は当然平日昼間を買ったんだけど
目の前で現金購入なのに、わざわざ住所と名前を書かされたんだよ~
初めてだよ~、たかがチケット一枚にあんな面倒なことしたの!


と、前振りが長くなったけど(すいません、どうでも良い話を長々と
そんなわけで、昨日上野の森美術館に行ってきました

美術館の窓口が空くのは9:30なんで
その前(9:15)に行って並びました
前から12人目!

さて、肝心の内容なんですが
平たく言えば「バガボンド」の最終回の原画展、て感じです

しかし!
ただの原画展じゃない!
全部オリジナルだし、井上雄彦の画力もすごいんだけど
何より美術館すべてが『バガボンド』の世界、
宮本武蔵の最後の境地を表現する事に使われてる。。。
つまり、
館内すべてが井上雄彦=「バガボンド」=宮本武蔵の内的宇宙として構築されているんです

観客は武蔵の最後に立会い
いつの間にか武蔵の内面を覗き込んでいます
死に臨んで、自分の弱さを認め
戦って殺した相手、出会った人々を思い
父との確執、母への憧れと、武蔵の心的宇宙を追って行く。。。
そして、暗い館内から外の光へ出てきたときは
すべての想いが昇華した、そんな気持ちになるのです
文字通り、観客は“体感する”わけです!

そんな気持ちになった美術展が未だかつてあったかしら?
素晴らしい名画を見ると感動するけれど
それは一枚一枚の絵に対しての感動でしょ?
この美術展は、原画一枚一枚の素晴らしさもさることながら
美術館内部それ自体が一つの作品になってるのです
そのために美術館内部、廊下の隅々に至るまで
一つの作品を作り上げるために利用してあるのです

例えば、
キャンパスから絵がはみ出て壁にまで絵が描いてある。。。
階段に出れば、その突き当たりに絵が。。。
でも、それはキャンパスに描かれた絵が飾ってあるのではなくて
壁に直接描かれている。。。!
(展覧会が終わったら、これどうするのかしら?)
あと、砂浜の絵には床に砂が敷き詰められていたりと
3次元的な利用もされている。。。

勿論、こういう美術館の利用法って、今までも無かったわけじゃない
でも、これは展覧会全体が「バガボンド」の最後の物語になっている
普通にマンガを読んでると、
ストーリーに入り込んで脳内がその世界でいっぱいになるでしょ?
それを何倍にも強烈にした感じなんです
それこそストーリーのあるマンガという媒体の強みではないですか!
マンガって、絵と物語の総合芸術なんだって、つくづく思いましたよ
絵の迫力もストーリーの深みもさることながら
雑誌の枠をはみ出て建築物すらもまんがの表現に利用しようするアイデア、その企画力!
ものすごいものを見た気持ちです

ここまで、全体としての感動ばっかり述べてきたけど
個々の絵もすごかったですよ
全然前知識なく行ったんで、全部原画だって知らなくて
思わず覗き込んでみたら。。。
トーンは貼ってあるし、ホワイトの跡があるしで
しかも、描いてあるのは和紙!
マンガ描こうと思った方はお分かりでしょうが
普通はケント紙に鉛筆で下書きして、ペンで上書き
鉛筆の下書きは後で消しゴムで消します
それを和紙では。。。消しゴムなんか使ったら紙がケバケバになっちゃう
てことは、ほとんど一発勝負で描かれているわけですよ
しかも、デッサンの狂いも無い素晴らしい絵が!
後で聞いたら、面相筆で描いてるとか。。。
今月号の「BRUTUS」に
“はっきり言って、これほどの線が引ける日本画家は、
第二次大戦以降ひとりとして存在していません”
と絶賛されてましたが
本当に上手い!
「スラムダンク」を連載し始めた頃の絵を思うと、信じられないくらいです
どんなマンガ家さんでも、描いてるうちに絵は上達していくもんだけど
ここまで、デッサン力もだけど
一つの絵が美術品として鑑賞できるくらい上手くなった方も珍しいのでは?
才能だけじゃなくて、ご本人の努力とこだわりが人並みでないんでしょう

線だけじゃなくて、筆のかすれ、墨の濃淡、トーンの使い方
それらすべてがまさに芸術!
鳥肌もんでした!

そんなわけで、入場料¥1500
はっきり言って元取れます

結論
素晴らしかった~~!!

会期も残り少ないし
ぴあのチケットは平日昼間しか残ってないみたいだけど
興味と機会のある方は、是非足を運ばれる事をお奨めします
後悔はしませんよ~


帰りに、図録を買おうと思ったら
作品の収録されている図録は予約制でした
しかも、お値段も決まってないとか。。。
欲しい!欲しいけど。。。いくらなの~~!?超不安~~

その代わり、バガボンドの画集を購入¥2940
これはカラーバージョン

墨バージョンもあったけど、高いから1冊で我慢、我慢

ついでにポストカードを買ってきた


11:00ごろ、買い物を終えて外へ出たら。。。。
そこには長蛇の列が!
ああ、早く行って良かった!



最後に、美術館の大看板を
   

いや~~ん、カッコ良い~~~!!
欲しいわ~~~