叶方の両手には、鈍く光を反射させる剣が握られていた。両手でしっかりと持っていなければ、落としてしまいそうなほど重かった。切っ先は、膝をついて座る叶方の頭を越えていた。
手にした剣をためつすがめつ見ながら、叶方がつぶやくように言った。
「カリンカ、これって――」
マスコットはあお向けに横たわったまま、顔だけを叶方の方に向けていた。
「それは、魔法使いと互角に戦える剣さ。普通の剣と違って、攻撃を受ければ受けるほど強くなるんだ。折られても元どおりにくっつくし、刃が欠ければさらに鋭い刃が生えてくる。いつでも必要な時に取り出すことができるし、危機が迫れば自動的に身を守ってくれる。まさに無敵の剣だよ」
クッククク……と、カリンカが笑った
叶方は、手にした剣の柄をギュッと強く握った。剣から伝わってくる鋼鉄の硬さと、鋭い刃が持つ強さが、自分の中に無尽蔵の勇気を注いでくれるようだった。
「あっ――」と、叶方が声を洩らした。
見ると、叶方が手にしていた剣が溶けるように透きとおり、細い輪郭を残して消えようとしていた。
「どうすればいい、消えちゃうよ」叶方は、心細い声で言った。
「クッククク……」と、カリンカが笑った。「いいんだよ。剣がおまえとひとつになった証拠さ。これで剣の力をいつでも使うことができるんだ」
両刃の剣は、叶方の手の中で次第に細い輪郭を失っていき、煙のように消え去った。
叶方は、両手の平をまじまじと見ていた。剣とひとつになったと言われたことが、信じられないといった表情を浮かべていた。
「いよいよだね」
カリンカが、マスコットの体を横たえたまま言った。
「いよいよ、敵のアジトに乗りこんでいく準備ができた。覚悟はいいね」
顔をあげた叶方が、強くうなずいた。
「――やつらめ」
カリンカが、憎々しげにつぶやいた。
手にした剣をためつすがめつ見ながら、叶方がつぶやくように言った。
「カリンカ、これって――」
マスコットはあお向けに横たわったまま、顔だけを叶方の方に向けていた。
「それは、魔法使いと互角に戦える剣さ。普通の剣と違って、攻撃を受ければ受けるほど強くなるんだ。折られても元どおりにくっつくし、刃が欠ければさらに鋭い刃が生えてくる。いつでも必要な時に取り出すことができるし、危機が迫れば自動的に身を守ってくれる。まさに無敵の剣だよ」
クッククク……と、カリンカが笑った
叶方は、手にした剣の柄をギュッと強く握った。剣から伝わってくる鋼鉄の硬さと、鋭い刃が持つ強さが、自分の中に無尽蔵の勇気を注いでくれるようだった。
「あっ――」と、叶方が声を洩らした。
見ると、叶方が手にしていた剣が溶けるように透きとおり、細い輪郭を残して消えようとしていた。
「どうすればいい、消えちゃうよ」叶方は、心細い声で言った。
「クッククク……」と、カリンカが笑った。「いいんだよ。剣がおまえとひとつになった証拠さ。これで剣の力をいつでも使うことができるんだ」
両刃の剣は、叶方の手の中で次第に細い輪郭を失っていき、煙のように消え去った。
叶方は、両手の平をまじまじと見ていた。剣とひとつになったと言われたことが、信じられないといった表情を浮かべていた。
「いよいよだね」
カリンカが、マスコットの体を横たえたまま言った。
「いよいよ、敵のアジトに乗りこんでいく準備ができた。覚悟はいいね」
顔をあげた叶方が、強くうなずいた。
「――やつらめ」
カリンカが、憎々しげにつぶやいた。