夢幻に遊ぶYujin Koyamaの絵画と小説の世界を紹介します!

意外な人間の姿、風景に、きっと出会えるでしょう。フランスを中心に活躍する小山右人の世界を、とくとご堪能下さい!

作家、アーティストなどを志す人のための下北沢でのワークショップ

2016-10-21 19:59:09 | カルチャー

10月26日(水)に下北沢で企画しております、小説家・画家などのクリエーターを目指す方のためのワークショップまで5日となりました。

ワークショップでは、長年の創作と表現精神病理学の研究に基づいた私独自の創作の秘密が明かされることになるでしょう。ほんの数点を念頭に置いて新たに創作に向かうと、これまでとは明らかに違った〈心に響く変化球〉を投げられるようになったと実感していただけると確信しています。
しかし、これをお話しするのは今回限りとすることにし、出席者の方々にも他言しないようにお願いしますので、どうぞこの機会を逃されませんよう。これは決して宣伝文句などではなく、後述しますように深い実効性のある事柄で、易々とあちこちで喋るものではないと悟ったからです。

企画のきっかけは、氾濫するネット小説の新人の書き手に共通した、才能がありながら気付いていないことへの苛立ちでした。
しかし計画を進めるうち、昨年渋谷で開催した若いクリエーターとの本音トークが、案外強い印象を出席者の心に刻んだのを散見するにつれ、さらに創造性の深層を探索する話題にまで進めてみたいと思うようになりました。
私の思いにさっそく賛同してくださった方々は、才能あふれる興味深い精鋭です。イベント当日が、日常社会とは一風変わった熱気に包まれる雰囲気をお楽しみください。

表現精神病理学とはどんな研究をしているのか? それを創造性に活かすと、他で得られないどんな独創性が生み出せるのか? 例えば画家のムンク。「叫び」の絵画が前面に出て、何よりも有名ですが、表現精神病理学ではその背景にある人間の物語と、癒されていく過程について突き詰めてゆきます。
つまり、その苦悩の妄想的状況からの治癒過程を追っていくと、「アルファとオメガ」という世界創造になぞらえた神話的物語創作による治癒力に導かれた、極めて興味深い深層が見えてきます。
ムンクはその果てに長い苦悩の煩いから解放され、「叫び」とは似ても似つかない壮大な「太陽」の絵を描きました。名画の背後に隠されたこの苦悩と表現の変遷こそ、創作を志す人にとって、まず掘り下げて理解すべきことではなかったでしょうか? その変遷を読み解けば表現の秘密も解読でき、それを反対に創作行為に組み入れることによって、全く斬新かつ奥深い表現に到達できるのではないでしょうか。
一般の大学や専門学校などでも、決して語られることのない創造性の秘密と、創作への活かし方について、お聞き漏らしなく!

さらに、ワークショップにて提示される創造の深層を突く3つのポイントについて。
日本に来て日本画に目覚めた、今回の司会者でもあるパリジェンヌがこの三原則を取り入れて描いてみたところ、見違えるほどインパクトのあるデッサンを仕上げてきました。彼女と私自身も、その手ごたえに大きな確信を得た次第です。そして、優れた小説には、ほとんど最初からそれらの要素が端的に語られています。

「いずれの御時にか女御・更衣あまたさぶらひたぶらひけるなかに〜」源氏物語のあまりにも有名なこの冒頭の一行がなかったら、世界に冠たるこの物語も、また評価が異なっていたかもしれませんね。
小説にとって、それほど書き出しの一行、あるいは冒頭の3ページは重要です。
それは他の表現ー音楽、絵画、デザイン、建築、アニメ、映画、演劇、漫才、あるいはビジネスの様々な場面においてすら、当てはまることは実感されると思います。
この、0、3秒、あるいは3秒、3ページ足らずで見る人の心をワシヅカミにしてしまう不思議な現象について、特に小説の書き出しに焦点を当て、このイベントでは深めてゆきたいと思います。
小説「マンモスの牙」で新潮新人賞を受賞した小山右人が、専門の表現精神病理学の視点に基づいた独特の発想から解説と作品講評を致します。


マンモスの牙
1 牙の曲線
ぼくの生涯にとって唯一のかけがえのない友人(三十そこそこにしてすでにそう確信している)の超新星が、お互い定職のない無為徒食の気ままさで、街に落ちているささやかな幸運でも拾おうという散策のうち、また例によってふいに立ち止まり、彼いわく生きていく上での最も核心にある複雑な秘密を解き明かす鍵になるという奇妙な苦しげな姿勢を取り始めた。歩行者でごった返した歩道で、彼は街灯に掴まり、頭を地面すれすれまで下げ、片足を高く振り上げ、その爪先で何かを探る様子で宙の空虚をコツコツ叩いてみる仕草をした。

これが、新潮新人賞を受賞した私の小説「マンモスの牙」の冒頭部分です。ここからマンモスの牙の不思議なひねりの美しさにたどり着くまでの回転を求めながら神秘な追求が繰り広げられ、そこからさらに物語が展開するのですが、この書き出しをお読みになってどのような感想を抱かれますでしょうか? 受賞から20年経って、米国のプリンストン大学文学部で読まれ研究されているこの小説を謎解き、この先にある創造の秘密を、来たる10月26日の下北沢における作家、アーティスト志望のためのワークショップでは語ってみたいものだと思っています。

http://koyama-yujin.jimdo.com/








在庫切れ

2016-10-11 10:17:04 | カルチャー
小説「珠」の英語版”The Pearl”は、現在Amazonアメリカでペーパーバックが在庫切れの状態です。たくさんのオファーを頂きながらお待たせ致しますが、大急ぎで増刷中です。一週間ほどお待ちいただきますようよろしくお願い致します!