フランスから、私の小説「最期の扉が開くとき見える光」の翻訳が着々と進行し、送られてきます。
Marie Parra Aledo氏翻訳で、美しい朗読も、音楽の背景に流れながら送ってくださり、コロナウイルスにまつわる、このところの憂さも吹き飛ばされる喜びでした。
昨年11月に脱稿したこの小説は、避けて通れない解剖実習で、医学生が担当になった老女の死顔と日々対面するうち、豊かな対話が生まれてゆきます。ついに、医学生は、老女が最期の瞬間に見た光を直感し、その死顔を精緻にデッサンして対話を極め、その光にも肉迫しようと無謀な試みを企みます。
感染症による死の脅威が荒れ狂っている昨今、もう一度疫病と現代について、作家として向き合ってみたいと思っています。
今夜、翻訳者と、カミュの「ペスト」、ボッカチオ「デカメロン」、トーマス・マン「魔の山」など、人類を窮地に追い込んだ中での文学について論じてみたいと思っています。
また、突如、現代文明に甘んじていた先進の人々を狼狽させたコロナパンデミックについても、後世への遺産として、少しでも貢献できるよう、短編でもまず書き留めようと思っています。