夢幻に遊ぶYujin Koyamaの絵画と小説の世界を紹介します!

意外な人間の姿、風景に、きっと出会えるでしょう。フランスを中心に活躍する小山右人の世界を、とくとご堪能下さい!

【映画「牙の曲線」のストーリー】

2021-03-04 10:28:00 | カルチャー
【映画「牙の曲線」のストーリー】


 編集真っ最中の映画「牙の曲線」のストーリーをご紹介いたします。
 これは、新潮新人賞受賞作「マンモスの牙」(小山右人)の映画化作品です。どうぞよろしくお願いいたします。

 フランスから来た天才肌の若い女性、スーパーノヴァは、自然や芸術作品に隠されたひねりにこだわり、情熱を注ぐ。他ならぬ自分探しの冒険に夢中の彼女は、宙に潜むひねりまで探る。遂にマンモスの牙の絶妙のひねりに取り憑かれるが、結局は化石には充たされず、自らの身体に秘められた宇宙のひねりに立ち向かう。珍しい回転マニアの病院長の罠にはまってしまいながらも幽体離脱で逃れ、生まれ出る時の胎児の規則的な回旋まで遡って体験し、帝王切開で生まれた自分の根っこをようやく見いだす。
 さて、追手を恐れた彼女は、語り部の「私」を置き去りに、フランスへ帰ってしまう。「私」は、取り残された雑踏の中、いぶかりつつも身をひねり、自分を探らずにはいられない衝動を覚える。嘲笑と罵倒を背に、奇妙な仕草で探りだすうち、不思議にも、肉体の殻から解き放たれ、東京都心の宙を、すっかり忘れていた自由で純真な気持ちで舞う。稀な心地よさに酔いながら、ウイルスのパンデミックに暗い表情の人々に、その歓びを伝えようとする。が、そのシルエットがビルに映じても、誰の目にも止まらぬ虚しさが返ってくるばかりの中、彼は一人、懸命に身をひねり続ける・・・。