地震津波以前は、よく海岸をさんぽした。
サンダルで砂浜を歩き、波打ちぎわまで来るとはだしになり歩き出す。
両手にサンダルを持ち、いま引いて行った波のあとを追うように歩いてゆく。
向うから長い髪の少女が子犬を連れて歩いて来る。
風になびいた髪が朝陽をうけてキラキラとしている。
なにごともなくすれちがう。
おだやかな海は、小さな波をよせてはかえす。
波打ちぎわには貝殻がたくさんある、その波打ちぎわに沿って歩いてゆく。
たまに、波に洗われコロコロと貝(小玉貝)が打上げられる。
こうなると貝はもう戻れない、力尽きて鳥のエサになり貝殻となる。
運よく私に見つけられた貝は、2~3日後にスープになる。
波打ちぎわのさんぽは空気がきれいで、足の裏の感触がとても気持ちがよい。
そして、たまに美味しい。
けど、もうここはさんぽしない。