ハネムーン 第６日目 ≪スイスの銀行にて≫

その人がスイスの銀行に入ると、一瞬、しーんとした。

そして空気が変わった。



と、同時に１０くらいのひとが窓口の一番偉そうな人とすったもんだして、揉めていた。

ドイツ語の人がさらにヒートアップして「ガーガー、ガーガー」興奮していた。

旅に行くとなぜか「珍道中」になってしまう。
夫はショーン・コネリー似の人って言うけれど、私は違うんだよなー。

私はサッパリフェイスで、スリムで、威厳があり、お金持ち、穏やかな印象、カナ。

ハネムーン 第６日目～『人間性』～救世主、大物、現る。

どこかに電話しているようだ。

スイスの通訳女性「スイスで３番目に入るお金持ちです。今から来ますから」と言った。

私は１２０％、その話を信じた。

藁をもすがる思いで信じた。

*☆*・・・・*☆*・・・*☆*☆*・・*☆*・*☆*☆*・*☆*・・*☆*:・・・*☆

しばらくして。
その人はそよ風みたいにやって来た。

服装はラフで。
ピンクのシャツにGパン。



芸能人じゃないんだな。

スポーツ選手でもないんだな。

お金持ちオーラって言うの！？

ハンパない。

その人は会釈した。
加えてスイスの通訳の人が簡単な自己紹介をする。

聞けば、

普段は核シェルターの設計者で、今も地下にいたんだよって事、
お土産屋さんの経営者であるコト
他、５コ～６コを経営する企業家であるコトを話した。

そして私に「銀行に行きましょう」と言った。
私は頷いた。

ハネムーン 第６日目～二人の通訳～『人間性』

その頃、夫はのんきにお土産屋さんにいた。
私は慌てて「かくかくしかじか」と状況を説明する。
彼「えっ・・・」

★☆★☆★

そういえば、ベネチアで通訳の女性が言った、

『一ヶ月の間、荷物が出でこないなんてザラですから』と突き刺さる言葉をくれた。

まだ起きてもないことをネガティブに助長する言葉だと思う。



夫は日本語の出来るお土産屋を探す。

すると一人だけいたのです。

その人はお土産屋で働いてて、スイスの通訳もこなす女性だった。

その人が親身になって考えて、即座に行動に移してくれた。

人間性って言うのかな、そうもの感じたね。