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真の動物福祉牧場を目指して

徳流河(ドゥルーガ)光臨

 幼い「闇っ子」達を引き取って育て上げ、「女子鉄道突撃隊」を組織した徳流河も、タイミングを計算して火車の無座(ウーズオ)車輌に「光臨」します。  
 因みに日本では「降臨」と書きますが、元々の光臨(グァンリン)の方が感じが出ており、日常会話でもよく用いられています。
 
 ドゥルガは「遊女の神」ですが、戦いと正義の神でもあり、中華文明を貶めている共産党の支配を終らせる為に、人民をまとめて革命へ導きます。

 中国の革命は常に、虐げられて不満の溜まった多くの農民たちを、一部のドロップアウトした知識人が率いるコトで達成されました。
 この構図は現代の農民工と「寝そべり族」に当てはまり、流河の狙いはこの両者を結びつけるコトです。

 それにはまず、打ちひしがれた彼等の心を解放しなければならず、その為に流河は「遊女の神」に扮してステージに上がります。
 それはギューギュー詰めの車輌の中央のシートで、四人掛けシートの背もたれは2列にくっついているので、その上に立つコトが出来ます。

 ここでの演奏は「女子十二楽坊」の様な中国の伝統楽器によるモノで、横笛とパーカッションを担当する流河の両脇の背もたれ上に、胡弓と琴を弾く女子が座ります。
 曲目は「敦煌」のような明るく華やかなモノからとし、クライマックスの横笛パートでは、パーカッションは「寝そべり族」の若者に渡され、回りの人達も適当なドラムを叩いて盛り上がります。

 胡弓や琴は農民工の中にも熟練した人達がおり、女子と替わってステージに座り渋い伝統曲を奏でます。
 都会での苦しい仕事と、惨めな生活によって失なわれていた彼等の元気が蘇り、火車の無座車輌に中華文明の華が咲きます。

 ここで流河のファッションに言及しますと、彼女は20代後半で若々しく黒髪を伸ばし、明るい色のヘッドバンドとコスチュームを付けています。
 更に普段はずっと色のついたグラスを掛けており、ステージ上で踊る時だけそれを外します。

 演奏が終わった後、農民工の女性は流河に「そんな美しい目をどうして隠すの?」と尋ねますが、彼女は答えをはぐらかします。
 しかし、どうしても顔をよく見せてくれとセガマれて、仕方なくそうします。

 農民工の女性は、流河の左目が義眼であるコトに気付いて言葉を失います。
 更にヘッドバンドを外すと、オデコの真ん中にタバコを押し付けられた跡があり、これは周りに刺青を施して芸術的なシンボルとしていました。

 流河はこれをすぐに隠しますが、側にいた人達はその「第三の目」をずっと忘れられず、「革命」に参戦する運命となります。

 
 

 
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