トゥルク(転生活仏)も女性しか描く気が起こらず、これは男性のサガなのでしょう。
まあダライ・ラマ14世ぐらいは登場させましたが、それは子供の頃でジョジョ(ジョン-ジョード)が家庭教師を務める設定でした。
ジョジョは「宇宙一邪悪な街」と呼ばれた大英インド帝国の首都、カルカッタ(カーシー)のスラム出身で、スラムの女神ラクシュミーの学校で育ちました。
彼女はバラモンの娘で白い肌を持ち、イギリス人にすり寄って搾取階級の地位を保とうとする親達と訣別するまでは、社交界の花形でした。
なのでスラムに堕ちてからも支援する男性は多くおり、「富の女神」ラクシュミーの地位を保ちます。
このカーシー-スラムには他にも3人の女神を設定しており、以前は飢餓救済とトゥルクを巡るつばぜり合いにスポットを当てたので、彼女達についてあまり書けなかったので捕捉します。
カーシーの街の由来は女神カーリーから来ており、神話ではパールワティーとドゥルガもカーリーと同体とされています。
しかし近代の物語ではそんなメタモルフォーゼするキャラクターは描けないので、三姉妹として描きます。
パールワティーは「美の女神」なので純血のペルシャ系とし、そうしたバラモン達は体面を気にするので、望まなれない子はスラムに捨てられました。
ドゥルガは「遊女の神」なのでイギリス人ハーフの捨て子とし、カーリーは黒い肌を持つ大柄な「戦いの女神」です。
三姉妹は強い絆で結ばれて育ち、世界で最も打ち蔆がれたスラムの人々は、彼女等を女神と崇めるコトで希望の光を見い出そうとします。
当時のカーシーには、イギリスに搾取されて食えなくなった農民が大量に流れ込んでおり、スラムは餓死寸前の人々で溢れていました。
こうした人々はイギリス支配に抵抗する秘密結社を作り、それは「カーリー団」と呼ばれて独立後まで存続しました。
これについてはアメリカ人作家が「ホーリー・スモーク」という小説で描いており、これは同名の映画とは全く違う物語です。
実際にかなり血生臭い暗闘も行われた様で、それもカーシーが「宇宙一邪悪な街」と呼ばれる要因となりました。
しかし、アヘンや綿花のプランテーションで豊かなベンガルを荒廃させ、その搾取した富で栄えた街に於いては、支配階級の方が遥かに邪悪だったと言えます。
しかも彼等は奴隷貿易を行い、それはイギリスの法律では違法でしたが、インドやアフリカでは賄賂によって半ば公然と行われていました。
そうした「巨悪」に立ち向かうため、人々は旗頭として「女神」を掲げて立ち上がり、「宇宙一邪悪な街」を「女神の街」に取り戻そうと闘って勝利します。(「Syn - 最後の核戦争」 「神」章)